建設業をはじめ、小売業、外食産業など幅広い業種で「人手不足」が深刻になっている。企業業績が好転する一方、「人手不足」は「職人不足による工事の遅滞や中止」「製造現場での従業員不足による生産の遅れ」「外食産業での営業時間短縮や店舗閉鎖」など、幅広い産業に広がり、「求人難」による倒産も発生している。
株式会社東京商工リサーチは8日、2014年8月の「人手不足」関連倒産調査結果を発表した。同社はこれまでも「人手不足」関連倒産を集計していたが、主に代表者死亡や入院などによる「後継者難」型、経営幹部や社員の退職に起因した「従業員退職」型が中心だった。だが、最近の「人手不足」の深刻化に伴い「求人難」型が出始め、2014年8月は2件(内、建設業2件)判明したという。このほか8月の「人手不足」関連倒産の内訳は、代表者の死亡や入院などによる「後継者難」型が22件、「従業員退職」型がゼロ件だった。
2014年1~8月累計では、「後継者難」型が173件(前年同期156件)、「求人難」型が17件(同8件)、「従業員退職」型が7件(同11件)になった。事業継承の課題が深刻化していることを背景に「後継者難」が圧倒的だが、「求人難」型の今後の増勢が懸念されるとしている。
また、最近の倒産で人件費高騰による負担増から資金繰りが悪化したケースも出ている。「人件費高騰」が影響した倒産は、2014年8月は2件発生した。2014年1~8月の累計は13件(前年同期6件)になった。人手不足や人件費高騰が中小企業を中心に経営の足かせになってきたと分析している。
現在は「後継者型」が中心だが、いよいよ「求人難型」が出始めているようだ。人が足りない、人を呼び寄せるために必然的に人件費が高騰する、人件費が経営を圧迫する、そして倒産へ、といった負の連鎖が始まっている。今後、とくに中小企業は、雇用の在り方を問われることになるだろう。(編集担当:慶尾六郎)