日立、EVの走行距離を2倍にする電池技術を開発

2014年11月17日 07:12

 環境問題への意識の高まりとともに、電気自動車(EV)の普及率は伸び続けている。充電設備などのインフラ整備の問題はあるものの、今後はそうした問題にも改善が加えられていくことだろう。そうすれば今以上に電気自動車が街を走る姿を目にする機会も増え、より環境に優しい社会も実現していくことだろう。

 しかし環境に優しいだけでは、商品は売れない。やはりそれが自動車である以上、ある一定の機能性も当然求められる。環境に優しく、かつ機能的にも優れている。この2つの要素がかみ合ってこそ、電気自動車の普及率はより高まりを見せるのではないだろうか。

 そして電気自動車に求められる機能性といえば、やはりその走行距離である。14日、日立製作所<6501>は電気自動車の走行可能距離をこれまでの2倍に増やすことのできるリチウムイオン電池の要素技術を開発したとの発表を行った。現在市販されている電気自動車の多くが、1回の充電で120~200キロメートル程度しか走行できないものが大半で、この走行距離の改善が電気自動車開発の上での大きな課題となっていた。しかし今回日立製作所が発表したリチウムイオン電池の要素技術を用いれば、それが2倍に増えるという。日立製作所は2020年ごろの実用化を目指している。

 今回日立製作所が開発した技術は、電極の暑さをこれまでの2倍にし、充放電することのできるリチウムイオン量を増加させエネルギーを高密度化。それにより電池の寿命は変わらずに同じ大きさであれば走行距離を倍増させることができるという。

 1回の充電で走行できる距離が120~200キロメートルでは、やはり物足りなさや不便を感じるドライバーも多いことだろう。しかし日立製作所が今回発表した技術を用いて、2倍の400キロメートル程度走行することができるようになれば、そうした不満や不便もある程度解消することができる。

 「環境に優しい」という言葉だけでは、なかなか購入・乗り換えに踏み切れない人に対しても、こうした機能面での向上をアピールすれば購入・乗り換えにつながり、そして電気自動車の普及率も今以上に増加するのではないだろうか?(編集担当:滝川幸平)