前日のNY市場はクリスマスで休場。海外勢の多くも欧米の政治家もまだ休暇中。24日までのアメリカのクリスマス商戦全体の小売売上高がスペンディングパルス社から発表され、0.7%増で伸びは昨年より1.3ポイント鈍化し、威勢がよかったのは11月23日のブラックフライデーの頃だけだった。東京市場は「節税対策売り」勢力は前日で消え、「ドレッシング買い」勢力の本格出動はまだ先なので、26日の東京市場は午後に発足する第二次安倍内閣への評価も含めて、日本経済の今後の見通し、日本企業の実力、日本株の実需が純粋に問われると思われた。
しかし円安が進行して朝方の為替レートはドル円が2011年4月以来の85円台、ユーロ円が112円台に乗せたので、それを好感して日経平均は51.10円高の10131.22円で始まった。12月末の配当落ちの影響はほとんどなく、その後はおおむね10100円~10150円の値幅で一進一退だったが、2時台から切り上がって、安倍晋三自民党総裁が衆議院本会議で首相指名を受けた時刻には10200円を突破。終値は高値引けで150.24円高の10230.36円となり、年初来高値10255円まであと25円に迫った。先物の大証夜間取引は夕方にその水準を超え10300円台に乗せている。売買代金は1兆3222億円と少なめだが、値上がり銘柄は1159で前日よりも増えた。
東証33業種で値上がり業種の上位は海運、その他金融、鉄鋼、証券、倉庫、不動産などで、値下がり業種は電力・ガス、鉱業、食品の3業種だけだった。
安倍新首相が金融緩和を日銀に迫り活発に買われた金融・証券株は、三菱UFJが3円高、みずほが3円高で売買高2位、三井住友FGが25円高、野村HDが13円高で年初来高値を更新し売買高5位、売買代金2位、大和証券Gが12円高と全面高だが、さらに大きな存在感を示したのが業種別騰落率2位の「その他金融」で、オリコが63円高で値上がり率2位、売買高4位、売買代金4位に入り、アイフルが50円高で売買代金5位に入った。
金融緩和期待による円安進行で買われた輸出関連株では、自動車はトヨタが50円高で売買代金3位に入り、日産が16円高、ホンダが30円高。電機はシャープが42円高と大きく上昇し売買高と売買代金で1位に入り、パナソニックは14円高、ソニーは36円高と、「巨額最終赤字三兄弟」は連れ高した。東芝は6円高。日立は日経新聞が「日立社長が医療事業の再編を示唆」と報じて10円高になり、日立メディコは制限値幅の上限の150円高と買われている。
自民党が政権公約に掲げた「国土強靱化」や建設国債発行で買われた公共投資関連株では、建設で値上がり率が大きい順に福田組、世紀東急工業、大林道路、東京エネシス。その次の三井住友建設は6円高で今日も売買高3位に入った。不動産は三井不動産が34円高、三菱地所が39円高で年初来高値更新、住友不動産が41円高と、好調が続く。
「日経平均寄与度御三家」のファーストリテイリングは400円高、ファナックは410円高だったが、ソフトバンクは3日ぶりに下落し5円安とカヤの外。NTT、味の素、東京電力、関西電力も下げている。
湾岸エリアの含み資産期待で買われたテーマは、前日は「競馬場」だったが、今日は「港の倉庫」。値上がり率でケイヒンが12位に入り、三菱倉庫、安田倉庫、澁澤倉庫が年初来高値を更新して、倉庫業は業種別騰落率5位に入った。5円高の東洋埠頭ともども、全て東京湾岸エリアに倉庫を何カ所も所有している。誘致活動中の東京五輪計画では東京港の晴海地区にメインスタジアムが建設され、有明地区、大井地区にも競技施設ができる予定で、「東京五輪関連銘柄」でもある。「東京ベイエリア含み資産狙い」の次のターゲットはどこか。(編集担当:寺尾淳)