クリスマスを控えたこの時期になると、日本各地でライトアップやイルミネーションの情報を目や耳にする機会が多くなる。クリスマスの飾りつけという意味だけでなく、冬場は空気が澄んでいるので、より美しく見える効果もあるようだ。
毎年世界中から5000万人以上の観光客が訪れる古都・京都でも、清水寺や高台寺など有名寺社仏閣で行われるライトアップをはじめ、近年ではイルミネーションも盛んに行われている。
京都市は2014年6月、2013年度の市内観光客数が、これまで最多だった08年の5021万人を141万人も大幅に上回る5162万人で、過去最多だったことを発表している。また、観光消費額は7002億円、海外観光客の宿泊客数も113万人となっており、これも過去最多を記録した。海外観光客の増加は円安やビザ発給要件の緩和などが大きな要因だが、日本人観光客については、景気回復で旅行需要が増しているだけでなく、110万人を動員した「京都・嵐山花灯路」などのライトアップイベントが、観光客の大幅な増加に一役買ったと分析している。
京都では「京都・嵐山花灯路」の他にも、青蓮院から清水寺までの約4.6キロの小路に京都の伝統工芸である清水焼、北山杉、京銘竹、石工、金属などで作られた風情溢れる約2400基の行灯を点した「京都・東山花灯路」、さらには市内だけでなく、丹波のるり渓では、京都最大、人工オーロラも自慢のイルミネーション「京都イルミエール」など、バラエティにとんだイルミネーションイベントが行われている。
行政だけでなく、社会貢献の一環として、イルミネーションを行っている企業もある。京都は日本を代表する電子部品企業が多いことでも知られているが、京セラなども毎年、クリスマス時期に合わせて、本社ビル前の広場でイルミネーション展示を行っている。さらに規模の大きいものになると、同じく京都に本社を置く半導体・電子部品のローム株式会社のイルミネーションがある。同社も1995年から、本社周辺でイルミネーションを実施しており、五条通りと佐井通り(通称春日通り)のコーナーにある高さ約10mのシンボルツリー「ヤマモモの木」をはじめ、ローム本社の敷地に面した佐井通り沿いの並木道を中心とした68本の木々に、京都市内では最大規模となる約60万個もの電球を点灯する。さらに、電子部品企業ならではの、光のアトラクションなども実施する予定だという。
期間は11月28日から12月25日までの約1ヵ月。古都の夜をファンタジックに彩る60万個のイルミネーションによる、光の森。地元の京都市民はもちろん、その時期に京都観光に訪れる予定のある人は一見の価値があるだろう。(編集担当:藤原伊織)