業界最小のリフレクタ付3色発光チップLEDが実現する光

2012年04月16日 11:00

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リフレクタ付3色発光タイプのLEDは、ライトアップやイルミネーションで重宝されている。写真は、京都の季節感や行事、暦などを光で表現力豊かに演出したロームの「京都テクノロジーセンター」

 発色が良く、フルカラーでの多彩な表現が可能なLEDは、ライトアップやデザイン性が求められる各種サイン、デジタルサイネージなど、照明用途として普及する以前から、幅広い分野への展開が進んでいた。しかし近年、各種機器の小型化や高機能化が進むのと同時に、更なる表現力アップが求められるようになり、高輝度で混色性が高いだけでなく、より小型化されたLEDへのニーズが高まっている。

 こうした中、半導体メーカーのロームが、リフレクタ付3色発光タイプとしては業界最小の小型高輝度チップLEDを開発。昨年11月からサンプル出荷を開始しており、今年5月からは量産を予定しているという。

 3色発光タイプのLEDは光の3原色RGBそれぞれの発光素子を1パッケージに搭載したもので、白色をはじめフルカラーでの発光が可能。また、発光素子の距離を近づけることにも成功し、表現力アップには欠かせない高い混色性も実現しているという。さらに、横方向への光漏れがなく、正面の光度が大きいリフレクタ付タイプでありながら、業界最小クラスの1816 サイズで実装面積も大幅削減。これにより超精細でありながら、高輝度でのLEDマトリクスの生成も可能となり、アミューズメント機器等における表現力アップに貢献する製品となっている。

 1973年のLED発売以来、長年蓄積してきた技術を活かし、今回の新製品以外にもリフレクタ付き3色発光タイプのチップLEDを提供しているローム。同社のLED製品は、小型でありながら高輝度で高混色性を誇り、イルミネーションやライトアップ用途で細やかな色調整が可能なため、自社ビルのライトアップに利用されているだけでなく、大阪の通天閣ネオンにも採用されるなど、高い評価を受けている。

 LED市場は、中国・台湾・韓国のメーカーがその主軸を担っており、2007年頃までは世界を先行していた日本メーカーは、後背を期している観がある。三井物産がLED事業に参画する際に選んだ出資先も台湾メーカーであるなど、今後も、日本メーカーの置かれる環境は厳しいものとなるであろう。こうした中で日本メーカーが競争力を維持していく為には、単なる価格競争に陥らない、高付加価値製品の開発が必須である。その為には、省エネであることは当然、そこにデザイン性や快適性など、日本の独自技術で新たな価値を発信することが必要であろう。その第一歩として、今回の新製品や、それを開発したロームのような取り組みが、もっと広く認知される必要があるのではないだろうか。