社内コミュニケーション活性化のため、社員旅行などのイベントを復活させる企業が増えている。産労総合研究所が実施した調査(2014年11月4日公表)では、社内運動会や社員旅行など、何らかの余暇・レク行事を実施している企業は8割にのぼる。そのうち「社員旅行」の実施率は、46%で最も多かった。次いで「ボウリング大会」(35%)、「ゴルフコンペ」(30%)などとなっている。
調査は今年6月、産労総合研究所が、会員企業2000社を対象に郵送法で実施。締切日までに回答のあった122社について集計した。直近10年間に、余暇・レク行事の「見直しや再編をした」企業は45.1%、そのうち47.3%は「新たな行事をはじめた」としており、「整理・縮小した」(45.5%)を上回った。「行事を復活させた」も29.1%と、約3社に1社ある。
社員旅行を行う企業の割合は、1990年代には9割近い時期もあったものの、2004年には4割まで減少していた。しかし、前回調査の2009年には51.6%、今回も46%と回復の兆しを見せている。背景には、社員同士のコミュニケーションを活性化したいとの思惑もあるようだ。アンケートでは「社内行事を実施する目的」を尋ねているが、もっとも重視する目的を1つだけ選択してもらったところ、「コミュニケーションの促進」が60.3%と圧倒的に多かった。企業規模別にみると、従業員1000人以上規模では「コミュニケーション促進」が最も多く、299人以下では「連帯感や一体感の醸成」が最も多かった(複数回答の場合)。
「業績にもプラスになる」と、社内イベントを再評価する動きは多い。が、中には歓迎しない人もいる。人材採用を手がけるエン・ジャパンが、正社員への転職を希望する女性819名にアンケートを取ったところ、「なくてもいい福利厚生」の1位は「社員旅行」(71%)だった。社員旅行は、2位の「運動施設・保養所」(49%)、3位の「財形貯蓄・持ち株制度」(24%)に大差をつけて断トツの1位。20代~40代の、いずれの年代からも不評だった。女性たちからは“気を遣うので楽しめない”、“旅行と言えども仕事の延長”などの声があがっている。(編集担当:北条かや)