三菱ケミカルHD<4188>は後場、通期の営業利益見通しを1360億円から1600億円に上方修正したが、持分法適用会社だった大陽日酸<4091>を10~12月期から連結子会社にした影響が大きく、それはとっくに織り込み済みで瞬間プラスにタッチしただけで5.5円安。このところ水素関連銘柄として買われていた大陽日酸は31円安だった。帝人<3401>は400億円分の転換社債型新株予約権付き社債(CB)発行による希薄化懸念で14円安。値下がり率14位。売買高10位。エクイティファイナンスは下げ要因になる。
ヤクルト本社<2267>は発行済株式数の20%を保有する筆頭株主のフランスのダノンが「株売却を検討」というブルームバーグの報道に反応し410円安で値下がり率6位。25日に年初来高値を更新したので「ダノンは利益を確定したい」という観測が流れたが、一方では「うるさいのがいなくなれば経営の自由度が増して良い」という見方もあった。
総合商社の三井物産<8031>、三菱商事<8058>、住友商事<8053>、丸紅<8002>は時価総額が大きいためTOPIXリバランスの犠牲になりいずれも安値引け。三井物産は25円安、三菱商事は42円安、住友商事は22円安、丸紅は7.5円安だった。「ROE経営」「株主還元」の言葉を聞かぬ日はなし東京市場。この日は大阪の自動車部品商社SPK<7466>の轟富和社長が日経新聞のインタビューに「2020年3月期までに配当を毎年2円ずつ増配する」と答えた記事に反応し96円高で年初来高値更新。曽呂利新左衛門は米粒2倍ずつだったが、SPKは2円増配を毎年継続すれば2020年3月期は22期連続増配になり、年間配当が69円に達する。
商船三井<9104>は売買高5位で6円高。海運セクターは業種別騰落率トップ。TOPIXリバランスの恩恵を最も受けたのが10月上場のリクルートHD<6098>で、売買高12位、売買代金1位に入る大商いで45円高の高値引け。同じ10月上場のすかいらーく<3197>も同様かと思われたが、2時45分に46円高まで急騰し上場来高値を更新しながら大引け前のどんでん返しで終値は値動きなしと、一筋縄ではいかなかった。
ゲーム・コンテンツ関連ではマーベラス<7844>が、アップルのトップセールスランキングにファンタジーアドベンチャーの「剣と魔法のログレス・いにしえの女神」と、25日配信開始のバスケットボールゲーム「NBA CLUTCH TIME」が上位に入ったのを好感され、売買高4位、売買代金2位と買われ233円高で値上がり率2位だった。
新興市場は、日経ジャスダック平均は前場に年初来高値を更新しながら0.05%下落。東証マザーズ指数は0.72%下落。ミドリムシのユーグレナ<2931>は12月3日付の東証1部への指定替えが承認され103円高。一方、ロボットのサイバーダイン<7779>は海外募集による700万株の新株発行、ユーロ円建て転換社債型新株予約権付き社債(CB)200億円分の発行で410億円を調達するファイナンスを発表し希薄化、需給悪化懸念で155円安。テクノロジーで期待を集めて人気の高い2つの花形銘柄は明暗が分かれた。
新規IPOが1件。CRI・ミドルウェア<3698>が東証マザーズに新規上場した。ゲーム開発者のために映像・音声分野に特化したミドルウェア製品を提供し、取引先にはゲーム・コンテンツ関連の有名企業が並ぶ。この日は結局初値がつかず、公開価格2400円の2.3倍の5520円の買い気配で終えた。
この日の主役は「ドラッグストア」。アインファーマシーズ<9627>は372円高で年初来高値を更新し値上がり率3位。前日発表した5~10月中間期決算は営業利益15.6%減益ながら従来予想の35.9億円を上回り、調剤報酬の改定などで低調だった5~7月期決算からの立ち直りを評価し野村證券は目標株価を引き上げた。その影響が及んだのがクスリのアオキ<3398>で、11月の売上速報が期待され先回り買いで260円高、年初来高値更新。ゲンキー<2772>は520円高で年初来高値を更新し値上がり率6位。薬王堂<3385>も69円高で年初来高値を更新した。ツルハHD<3391>は薬ではなく、ネット決済に使われるプリペイドカードの取り扱いを始めるのが好材料視され30円高。1182店で「Amazonギフト券」など11種類のカードを販売するといい、ネット通販をよく利用する若年層の来店増が期待されていた。(編集担当:寺尾淳)