18日のNYダウは40ドル高、NASDAQは31ポイント上昇。東京市場反発に続きドイツのZEW景況感指数が改善してヨーロッパ市場も堅調で、その流れに乗り取引時間中の史上最高値を更新した。NAHB住宅市場指数が市場予測を上回ったことも景気先行き懸念を払拭。医薬品株はM&Aの刺激を受けてメルクは0.7%、ファイザーは0.9%それぞれ上昇。ユナイテッド・ヘルスも1.8%上昇した。ホーム・デポは決算が評価されず2.1%下落。1.38%下落のIBM、1.46%下落のマイクロソフトがブレーキだった。19日朝方の為替レートはドル円が117円台近辺、ユーロ円が146円台半ばで、円安が進行した。
安倍首相は前夜の記者会見で、消費税率10%への引き上げを2017年4月1日まで延期し、21日に衆議院を解散し総選挙で国民に信を問うと表明。景気条項を削除し税率引き上げの再延期は行わないこと、選挙後に緊急経済対策を実施すること、総選挙で与党が過半数割れすれば退陣することも明らかにした。総選挙は12月14日投開票。フィッチは「重大な事態の進展」と指摘し、日本国債の格付けを年内に再点検すると発表した。
CME先物清算値は17460円。解散・総選挙の「噂」が「事実」に変わって売られるか注目の日経平均は40.25円高の17384.31円と上昇して始まる。TOPIXもプラスで開始直後に1400台に乗せた。すぐに17400円を突破し、午前9時19分に17472円まで上昇する。その間、円安が進行してドル円は117円台にしっかり乗せていた。9時台は17400円台を保っていたが、10時の時報とともに急落し10時10分にマイナス圏の17343円まで下げる。上海も香港も下落して始まる。その後は17400円にタッチする時間もあったが、11時台は再び前日終値近辺まで下げてマイナスにタッチ。前引けは17347円だった。
日銀会合の結果は、10月31日発表の金融緩和政策には修正なく継続し、景気判断も据え置き。後場はわずかなマイナスで再開するが、たちまち17300円を割って午後0時32分に17283円まで下落。しかしすぐに前日終値付近まで戻し、1時台には17400円にもタッチ。1時30分に9月の全産業活動指数が発表され1.0%増で8月の0.1%減から改善し市場予測と同じだった。2時に発表された経済指標は3本。9月の景気動向指数の一致指数確報値は109.8で速報値の109.7より0.1ポイント改善、先行指数確報値は105.6で速報値と同じ。10月粗鋼生産量は1.7%減で2ヵ月連続マイナス、10月の訪日外国人客数は37%増の127 万2000人で、7 月の127 万人を上回り単月で過去最高だった。
日経平均は2時台前半に一時マイナスになった後にプラスに戻す。2時30分に発表された10月の百貨店売上高は、週末に日本列島に台風が2回も上陸したため全国が2.2%減で7ヵ月連続マイナス、東京地区も0.1%減で3ヵ月ぶりのマイナス。その影響か終盤は大きく下げマイナスになり17300円台も危うくなる。為替はドル円117円台前半、ユーロ円146円台後半で朝方よりも円安が進行していたが、大引け後の日銀総裁の記者会見を前にした「黒田待ち」ムードもあり日経平均は先物主導で軟調が続いた。しかしTOPIXはほとんどの時間はプラスで推移。大引け前の2時58分に17280円の最安値をつけて、終値は55.31円安の17288.75円と反落。日中値幅は192円。TOPIXは+1.66の1396.54で「NTねじれ現象」が出現。売買高は27億株、売買代金は2兆5939億円だった。
値上がり銘柄は689、値下がり銘柄は1010で全体の55%を占めた。プラスは19業種、マイナスは14業種。プラス上位は保険、証券、空運、ゴム製品、建設、海運など。マイナス下位は精密機器、小売、水産・農林、鉱業、倉庫、情報・通信などだった。
日経平均採用225種は値上がり119銘柄、値下がり99銘柄。プラス寄与度1位は京セラ<6971>、2位はみずほ証券が目標株価を引き上げたダイキン<6367>で、ともに+3円。マイナス寄与度1~3位はファーストリテイリング<9983>、ソフトバンク<9984>、ファナック<6954>の順で「日経平均寄与度御三家」が揃い踏みし、合計で-45円、解散・総選挙の事実で売られていた。
三菱UFJ<8306>はアメリカによる経済制裁中のイランへの送金規制に違反したかどでNY州の金融当局から数百億円規模の和解金の追加支払いを求められたと報じられたが1.1円高。みずほ<8411>は1.6円高、三井住友FG<8316>は53.5円高。野村HD<8604>は14.6円高だった。
タイでのピックアップトラックの生産について、全面改良する三菱自動車<7211>は3円高。2015年から世界に向けて輸出するトヨタ<7203>は27円高で年初来高値を更新し7年3ヵ月ぶりの終値7000円台。同じタイで新型SUV「エクストレイル」の生産・販売を始めたと発表した日産<7201>は3.5円安。富士重工<7270>はUBSが目標株価を引き上げ77.5円高。マツダ<7261>は84.5円高で年初来高値を更新した。タカタ<7312>のエアバッグ欠陥問題はこの日もエスカレートし88円安で年初来安値を更新し値下がり率1位。20日の上院公聴会にアメリカ国内で505万台をリコールしたホンダ<7267>の北米統括会社の幹部も出席する見通しになった。ホンダは54.5円安。アメリカ運輸省はリコールを全米規模に広げるよう自動車メーカーに指示し、リコール台数は報じられている780万台からさらに数百万台上積みされる見通しになった。
前日の投資家説明会に注目し、モルガンスタンレーとメリルリンチがソニー<6758>の目標株価を引き上げたが利益確定売りで37円安。2018年度のミャンマーでの売上高を2013年度の約3倍の100億円に増やすことが目標のパナソニック<6752>は、ヤンゴンとマンダレーの2カ所に大型ショールームを開設し4.5円高で年初来高値更新。日本の家電大手では初。全アジアの売上高を2015年度に1兆3000億円に伸ばす目標を設定した日立<6501>は、ゴールドマンサックスが買い推奨のコンビクションリストに入れて8円高で年初来高値更新。東芝<6502>は3.8円高。前日に独禁法違反で公取委の立ち入り検査を受けたNEC<6701>は4円安でこれで8日続落と深刻。OKI<6703>のほうは売買高7位に入り14円高と反発して値上がり率15位だった。
補正予算案に「電線地中化」が盛り込まれる思惑で沖電線<5815>が一時ストップ高の42円高で売買高14位、値上がり率2位と買われた。ジャパンディスプレイ<6740>は売買高11位に入り30円高で値上がり率10位。日本マイクロニクス<6871>は半導体検査器具が好調で9月期本決算は純利益2.7倍だったが、2015年9月期は2ケタの営業減益見通しで、期末一括配当予想を前期の30円から20円に減額し790円安。前日は空港の顔認証システム採用で買われたサクサHD<6675>はストップ高の80円高で年初来高値を更新し連日の値上がり率1位、売買高8位と人気を博している。