【日経平均】円安進行でも先物が売られかろうじて12円高

2014年11月20日 20:16

 19日朝方のNYダウは時折プラスに浮上する時間もあったが利益確定売りに押され2.09ドル安。NASDAQは26ポイント下落した。住宅着工件数は市場予測を下回ったが建設着工許可件数は6年4ヵ月ぶりの高水準で強弱まちまち。FOMC議事録が発表されたが注目の利上げ時期で突っ込んだ話はなく反応は限定的だった。小売のターゲットは8~10月期決算が好感され7.4%上昇。ホームセンターのロウズは通期見通しを上方修正して6.4%上昇した。ウォルマートも1.4%上昇し小売株は堅調。原油安で必需品のガソリンが安くなれば消費者の懐も温かくなるという連想。20日朝方の為替レートはドル円は7年3ヵ月ぶりの118円台前半、ユーロ円は148円前半で、円安がなかなか止まらない。

 CME先物清算値は17440円。取引時間前に10月の貿易収支が発表され7100億円の赤字。28ヵ月連続赤字だが9月の9583億円も市場予測の1兆437億円も大きく下回った。赤字幅圧縮の理由は原油安か? それとも国内景気の後退か? 黒田日銀総裁の前日の会見は特に騒がれるような内容はなかった。与党が2017年4月の消費増税時の軽減税率導入を総選挙の政権公約に盛り込むと報じられた。先進国では食料品を軽減税率の対象とする国が多いが、対象品目が決まればその業種は「政策に売りなし」で株価は上がる。

 日経平均は118.94円高の17407.69円で17400円台を回復して始まる。TOPIXもプラスで1400台を回復。しかし序盤は17400円台を維持できず、10時台前半までは17300円台で推移する。10時45分に中国の11月のHSBC製造業PMIが発表され、50.0で10月の50.4、市場予測の50.2より低く6ヵ月ぶりの低水準だった。それに反応して日経平均は17300円を割り込み、マイナスに落ちて10時55分に17270円まで下げる。その後は前日終値近辺でくすぶり、前引けは17292円でかろうじてプラスだった。

 後場はやや高い水準で始まり、午前0時台のうちに17360円近辺まで上げた後、1時台に17300円を割り、2時台に再び17350円近辺まで上昇するアップダウン。下げればすかさず押し目買いが入るが「寄り天」の高値には届かない。その間に為替はドル円は118円台後半、ユーロ円は148円台後半まで円安が進み、今週は東京時間で円が売られる。2時に10月の全国スーパー売上高が発表され1.9%減で7ヵ月連続マイナスと悪かったが、日経平均は円安に支えられ17300円台をしっかりキープ。しかし為替が円安に突き進もうとも日経平均は終盤、先物主導で急落してマイナスまで下げる。ずっとプラスだったTOPIXも瞬間マイナスになっていた。それでも大引け直前にプラスに戻し、終値は12.11円高の17300.86円とかろうじてプラス、17300円台に乗せ反発して終えた。日中値幅は137円。TOPIXは+1.10の1397.64で3日続伸。売買高は24億株、売買代金は2兆2439億円。

 値上がり銘柄は788で全体の約42%、値下がり銘柄は883で全体の約48%。20業種が上昇し13業種が下落した。プラスセクター上位は繊維、鉱業、海運、輸送用機器、水産・農林、ゴム製品など。マイナスセクター下位はその他金融、不動産、電気・ガス、証券、保険、パルプ・紙などだった。

 日経平均採用225種は値上がり111銘柄、値下がり101銘柄。プラス寄与度1位はKDDI<9433>で+8円、2位はホンダ<7267>で+4円。マイナス寄与度1位はソフトバンク<9984>で-16円、2位はファーストリテイリング<9983>で-7円だった。

 三井住友銀行が資源開発など海外の大型プロジェクトファイナンスに地方銀行の資金を呼び込むしくみをつくったが三井住友FG<8316>は4円安。第1弾として総額4000万ドル(約46億円)を拠出する七十七銀行<8341>は1円高、伊予銀行<8385>は4円高。運用難の地銀マネーの受け皿をメガバンクが用意するスキーム。三菱UFJ<8306>は0.8円安、みずほ<8411>は1.6円高だった。野村HD<8604>は8.2円安。

 円安の進行で自動車関連は堅調で輸送用機器セクターは業種別騰落率第4位。トヨタ<7203>は73円高、ホンダは55円高、富士重工<7270>は17.5円高。前日に小型クロスオーバーSUV「CX-3」2015年春発売を発表したマツダ<7261>は99円高で年初来高値を更新した。経済産業省は省令を改正して水素ステーションの設置基準を緩和し、ステーション内で水素を液体で保管できるようにすると報じられ、設置を急ぐ岩谷産業<8088>は26円高で年初来高値を更新した。

 ソニー<6758>は31円安だったが、シャープ<6753>は1円高、NEC<6701>は12円高、富士通<6702>は29.2円高、東芝<6502>は4.1円高、日立<6501>は鉄道信号システムの拠点をシンガポールに設置すると報じられ0.7円高。パナソニック<6752>は業務用映像・放送機器事業を強化し、4K映像対応のカメラや編集機材を増やし、先行するソニーに対抗すると報じられたが値動きなし。3年後をメドに4K関連の年間売上高を現在の5倍の300億円に引き上げる方針。