25日のNYダウは2.96ドル安で4日ぶりに反落。NASDAQは3.36ポイント上昇した。7~9月実質GDP改定値は速報値の年率換算3.5%増から上方修正され3.9%増で市場予測の3.3%を良い方に裏切ったが、CB消費者信頼感指数が前月の94.1から88.7に低下し午後は売りに押された。ミズーリ州で8月に白人警察官が黒人青年を射殺した事件で郡の大陪審が不起訴の判断を下し、全米に人種対立の不穏な空気が漂い、各地で暴動も発生してオバマ大統領が緊急記者会見で沈静化を呼びかける事態になったこともムードを悪くした。決算発表直前のHPは0.4%上昇、増収決算ながらEPSが市場予測を下回ったティファニーも2.5%上昇。26日朝方の為替レートはドル円が117円台後半、ユーロ円が147円近辺で、やや円高方向に戻していた。
CME先物清算値は17405円。OECDが経済見通し(エコノミック・アウトルック)を発表し、日本は個人消費が弱いとして2014年のGDP成長率予測を5月時点の1.2%増から0.4%増に下方修正した。2015年も1.2%増から0.8%増に下方修正。日経平均は59.65円安の17347.97円で始まる。TOPIXもマイナスだが1400台は堅持。序盤は午前9時7分の17335円で底を打ち9時19分に17392円まで上昇する。下げると「パブロフの犬」のように「GPIFや個人の押し目買い、日銀のETF買い入れ」の連想が働いて上がる。しかしその後の値動きは猫のように気まぐれで、17350円付近と17380円付近の間で行ったり来たりしプラスに浮上できず、底堅さと高値警戒感のせめぎあい。上海はプラス、香港はマイナスで始まる。前場終了前に上昇が始まり17400円に接近。11時27分に17399円の高値をつけ、前引けは17394円だった。
後場はほぼ前引け水準で再開し、午後0時台のうちに17400円、前日終値を突破してプラスに浮上する。1時1分に17432円まで上がって高値をつけるが、1時10分をすぎるとまたマイナスまで下落。その後は17400円をはさみ上下10円ぐらいの幅で小動きし、時々プラスにタッチする状況が続く。もみあいも2時をすぎれば上放れし、プラスに浮上して17430円付近に達するがここでも頭を抑えられる。為替も変化に乏しい。終盤は再びマイナスまで落ち、17400円台を回復できないまま終値は24.04円安の17383.58円で4日ぶりに反落。日中値幅は97円。TOPIXは-2.75の1406.40で6日ぶりの反落。売買高は22億株、売買代金は2兆2994億円だった。
値上がり銘柄は857、値下がり銘柄は824でほぼ拮抗。上昇セクターは14、下落セクターは19。プラス上位業種は非鉄金属、海運、ゴム製品、情報・通信、卸売、その他製品など。マイナス下位業種は鉱業、不動産、水産・農林、食料品、石油・石炭、陸運など。
日経平均採用225種は値上がり100銘柄、値下がり115銘柄。プラス寄与度1位はソフトバンク<9984>で+10円、2位はクボタ<6326>で+3円。マイナス寄与度1位はホンダ<7267>で-8円、2位は住友不動産<8830>で-4円だった。
メガバンクはみずほ<8411>値動きなし、三菱UFJ<8306>1.8円安、三井住友FG<8316>39円安。GPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)は前日に7~9月期決算を発表し、運用資産額は130兆8846億円で2012年9月末に比べ23兆円増えた。9月末の国内株運用比率は17.8%で6月末から1ポイント上昇し、新しい目安の25%まで6兆円程度買い増せる余地があるという。野村HD<8604>は4.2円安。M&Aキャピタルパートナーズ<6080>は新株発行13万2500株の公募増資と58万株の売出しを発表したが東証がマザーズから東証1部または2部への指定替えを承認し158円高。投資情報のフィスコ<3807>は12月期通期の売上高見通しを27%増の84億円、経常利益見通しを60%増の9.26億円と発表し57円高。
トヨタ<7203>は2017年から「レクサス」など高級車中心に車体へのアルミの採用を増やし軽量化で低燃費化を図ると報じられたが利益確定売りで10円安。二輪車の世界生産台数が66年目で累計3億台に達したホンダは108円安。アメリカで2003年から10年以上にわたり死傷事故などの報告1729件を怠り、それが当局に報告すべき案件の6割に達したと公表。伊東孝紳社長は「現場のミスが多かった。申し訳ない」と陳謝したが、上院のロックフェラー商業科学運輸委員長は非難し制裁金増額も示唆した。1件の死亡事故を含む8件はタカタ<7312>製エアバッグの欠陥に伴う死傷事故で、それに関し太田国土交通大臣は国内でリコールが届けられた約99万台が未修理でメーカーに早期修理を指示したと明らかにした。ロックフェラー委員長もタカタの会長に書簡を送り、98円安で値下がり率4位。富士重工<7270>は13円安、マツダ<7261>は75.5円高で年初来高値更新、日産<7201>も14円高で年初来高値更新と自動車大手は高安まちまち。クラッチのエクセディ<7278>は2016年からハンガリーの新工場で、フォルクスワーゲンなどヨーロッパ主要メーカー向けに自動変速機の主要部品ペーパーディスクを年300万台分生産すると報じられ12円高だった。
ソニー<6758>はトヨタ同様に年初来高値更新の翌日は利益確定売りにさらされ34円安。日立<6501>は2016年9月末までに情報・通信システム事業の国内製造拠点を再編すると発表し4.2円安。ストレージの小田原拠点を秦野拠点に統合し、ATM製造の子会社の愛知県の生産拠点も集約する。パナソニック<6752>は8円高で年初来高値更新、東芝<6502>は5.1円高、シャープ<6753>は3円安、NEC<6701>は2円高と電機大手も高安まちまち。半導体製造装置のディスコ<6146>は来期2016年3月期末に30億円の資金を株主配当に振り向ける公算大と報じられ年初来高値を更新しながら140円安。設備投資が一服し手元資金の一部を株主還元に回せるという。
イトーキ<7972>は12月期通期の売上高見通しを1087億円から1039億円に、営業利益見通しを45.2億円から21.5億円に、純利益見通しを40億円から16億円に下方修正し20円安で年初来安値更新。増益決算が一転、営業利益は48%減、純利益は57%減の減益決算に。企業のオフィスへの投資の回復が鈍いといい、社長交代も発表した。一方、内田洋行<8057>は前日、8~10月期の売上高が3%増、営業損益が前年同期の3.56億円の赤字から6.45億円の黒字に転換、最終損益が前年同期の3.24億円の赤字から3.51億円の黒字に転換したと発表し33円高で値上がり率5位。企業の事務所移転が増え内装工事やオフィス家具の販売が伸びたといい、イトーキと同業と思えないほど対照的だった。
経済産業省は電力事業の分割後も原発の廃炉費用を安定的に確保するため、新規参入も含めた電力小売会社がそれを企業や家庭から徴収するしくみを採用する公算大と報じられた。その廃炉のために文部科学省が補助金を出し2015年から東大、東工大、東京電力<9501>などが協力して特殊な廃炉作業の専門知識、技術を教え専門家を育てるというニュースもあった。東京電力は1円安。もし再稼働できなくても廃炉の費用と人材の確保は必要。八木社長が高浜原発1、2号機の40年超運転のための特別点検実施を表明した関西電力<9503>は7.5円安。大阪ガス<9532>は首都圏で法人顧客を開拓する営業組織を12月1日に設立と報じられ3.7円高。コージェネレーション(熱電併給)システムや発電した電気の売り込みを図る。
横河ブリッジHD<5911>は橋梁事業を手がける2つの子会社を2015年10月をめどに合併させると発表し4円高。新日鐵住金<5401>は、名古屋製鉄所の黒煙トラブル問題でこの日から住民説明会を開始。それに先立ち前日、進藤孝生社長は大村愛知県知事に事故原因や再発防止策などを説明した。進藤社長ら6人が役員報酬の一部を11月から当分、自主返上するとも発表。株価は1.3円安。日本板硝子<5202>は、2010年に実施した公募増資をめぐり主幹事の大和証券が事前に増資情報を漏洩させ株価が下落したとして、約30億円の損害賠償訴訟を東京地裁に起こした。原告の日本板硝子は値動きなし、被告の大和証券G<8601>は6.6円安。
名証2部の菊水化学工業<7953>は12月16日の東証2部への重複上場、公募増資で182.7万株分、オーバーアロットメントの売出しと第三者割当増資でそれぞれ27.3万株分の資金調達を行うと発表し2円安。アステラス製薬<4503>はアムジェンの決定で進行性胃がん治療薬の開発も国内の臨床試験も中止と発表して13.5円安。欧米での臨床試験で、既存薬と併用した際の安全性に問題ありと確かめられたため。4月の診療報酬改定で利用が急拡大している後発医薬品の東和薬品<4553>は、150億円を投資して2018年度までに錠剤の年産能力を約1.7倍に引き上げると報じられ140円高、日本調剤<3341>は工場を取得して傘下の後発薬メーカーの生産能力を今期中に倍増させると報じられ135円高で、どちらも年初来高値を更新した。