前週末21日のNYダウは91ドル高で連日の史上最高値更新。NASDAQは11ポイント上昇。中国人民銀行が2年4ヵ月ぶりに貸出金利の0.4%の利下げに踏み切り、ECBのドラギ総裁は講演でデフレから脱却するために「やるべきことをやる」と量的緩和政策をほのめかしヨーロッパ市場は上昇。NYダウも序盤17900ドルに迫り取引時間中の史上最高値をあっさり更新した。週明け24日のNYダウは7.84ドル高、NASDAQは41ポイント上昇。中国の利下げ効果は週末をはさんでなお続き、ドイツのIFO景況感指数が7ヵ月ぶりにプラスになり序盤は高かったが、その後は手がかり難でマイナスになったりプラスになったり。それでも最後は3日続けて終値ベースの史上最高値を更新した。25日朝方の為替レートはドル円が118円台前半、ユーロ円が147円台前半でドルは高く、ユーロは安くなっていた。
CME先物清算値は17480円。取引時間前に日銀から10月の企業向けサービス価格指数が発表され、3.6%増加で9月から0.1ポイント上昇した。三連休明けの日経平均は132.88円高の17490.39円でスタートし、TOPIXは始値で取引時間中の年初来高値を更新して始まった。NY株高や円安に反応して「寄り天(寄り高)」で始まるが、その後は上値を抑えられるという最近よく見られるパターン。取引開始後の為替が円高方向に振れてドル円は一時118円割れし、日経平均は午前10時11分に17385円まで下落する。原因は10月31日の日銀会合の議事要旨発表で、意見が対立して激論が交わされたのをマーケットは「談論風発また良き哉」とは思わず「日銀内にリスクが内包され不安」とみたらしい。黒田日銀総裁の名古屋での講演、記者会見内容は特段影響なし。11月の月例経済報告は基調判断を「緩やかな回復基調」で据え置いた。10時台後半からは17400~17440円のレンジで推移。上海は上昇、繁華街のバリケード撤去が始まった香港は下落で始まり、日経平均は状況に変化がないままに前場が終わり、前引けは17424円だった。
昼休み中にドル円が再び118円を割り込み、後場は17400円を割って17372円の安値をつけて始まるが、プラス圏は維持。午後1時台前半までは17400円台に乗せたり割り込んだりの繰り返し。1時台後半に17430円を超えても、2時を回ると再び17400円割れ。「東証が現物株の取引時間の拡大を当面見送り」というニュースも入っていた。感謝祭休暇前、総選挙にらみの様子見で伸び悩み、終盤は17400円を割り込んだが、MSCIの銘柄入れ替えのあった大引けで17400円台に滑り込み終値は50.11円高の17407.62円で3日続伸。マイナーSQ日の14日以来の終値17400円台に乗せて終えた。日中値幅は118円。TOPIXは終始1400台を保ち+8.97の1409.15で5日続伸し、日経平均ともども「寄り天」。この日、大阪取引所に新規上場した「JPX日経400先物」12月限の日中取引の3時15分の終値は12890。現物指数の3時の終値は12849.27。東証1部の売買高は27億株、売買代金は2兆8860億円だった。
東証1部の値上がり銘柄は1090で全体の59%を占めた。値下がり銘柄は624。33業種別騰落率は24業種が上昇し9業種が下落。プラスセクター上位は保険、ゴム製品、機械、鉄鋼、電気機器、輸送用機器など。マイナスセクター下位は医薬品、不動産、食料品、電気・ガス、倉庫、小売などだった。
日経平均採用225種は値上がり132銘柄、値下がり85銘柄。プラス寄与度1位はソフトバンク<9984>で+19円、2位はダイキン<6367>で+14円。マイナス寄与度1位はファーストリテイリング<9983>で-20円、2位はアステラス製薬<4503>で-7円。
メガバンクはみずほ<8411>0.2円安、三菱UFJ<8306>9.5円高、三井住友FG<8316>46円高。東北地方の地銀の岩手銀行<8345>、宮城県の七十七銀行<8341>、福島県の東邦銀行<8346>と日本政策投資銀行、地域経済活性化支援機構が各県に東日本大震災からの復興を支援する300億円規模のファンドをつくると報じられ、岩手銀行は10円高、七十七銀行は5円安、東邦銀行は1円安。地域全体を再生させる復興に軸足を移し新規事業や被災地以外の企業も支援する。野村HD<8604>は3.8円高。
2014年の世界の新車販売台数は前年比約2%増にとどまる見通しで、「中国は2013年の14%近い伸びから一変し2014年は5%前後」「ブラジルは1割前後減少」「ロシアも1割前後減少」「タイは4割近く落ち込む」など日経新聞に新興国の新車販売にブレーキがかかったという記事が掲載された。しかし輸送用機器セクターは業種別騰落率6位と堅調。トヨタ<7203>は101円高で年初来高値を更新し、ホンダ<7267>は51.5円高、富士重工<7270>は52.5円高、日産<7201>は29.5円高で年初来高値更新、マツダ<7261>も54.5円高で年初来高値を更新した。2015年から商用車向け運転管理システムをインドネシア、シンガポール、英国で発売するいすゞ<7202>は0.5円安。2016年に燃料電池バスの販売を開始すると報じられた日野自動車<7205>は31円高。ベアリングのジェイテクト<6473>はメリルリンチが目標株価を引き上げ91円高で年初来高値更新。タカタ<7312>はアメリカ上院の公聴会を何とか乗り切ってヤマを越し悪材料出尽くしで203円高になり値上がり率3位だった。
ソニー<6758>は10時からエレクトロニクス事業の投資家向け事業説明会を開いた。「2017年度の経営数値目標」によると、ゲーム&ネットワークサービス分野は今期見通し1.29兆円を1.4~1.6兆円に、デバイス分野は8900億円を1.3~1.5兆円に引き上げ、イメージング・プロダクツ&ソリューション分野は6500~7000億円、ホームエンタテインメント&サウンド分野は1兆円~1.1兆円を目指す。投資家が最も知りたいはずの営業損失2040億円、営業損失率15.1%のモバイル・コミュニケーション分野の経営数値目標は「2014年度中に開示する」と先送りにしたが、今年度は「選択と集中」で構造改革を進め、来年度は安定した利益を出せる部門にすると説明していた。JPモルガンがレーティングを引き上げ一時は値上がり率ランキングにも顔を出し、売買高14位、売買代金3位に入り149円高で年初来高値を更新。W杯ブラジル大会のあった今年で契約満了になるFIFAスポンサー契約を更新しない方針を固めたという報道もあった。無配転落で株主の目が厳しく、スポーツや文化への協賛が犠牲になるのはしかたない。
電気機器セクターは業種別騰落率5位。シャープ<6753>は3円安だったが、東芝<6502>は2.4円高、NEC<6701>は8円高、富士通<6702>は1.7円高、2000億円程度の資金枠を設けるM&A活性化策を発表した三菱電機<6503>は20円高。船井電機<6839>はメリルリンチが目標株価を引き上げ149円高で年初来高値を更新し値上がり率7位。JVCケンウッド<6632>は、2008年の経営統合以来初めて純有利子負債がゼロになり実質無借金経営になると日経新聞が伝え20円高で値上がり率10位。パイオニア<6773>は、小谷進社長が日経新聞のインタビューに答えて事業再編、復配、提携やM&Aなどについて言及したが1円安。オムロン<6645>はみずほ証券が目標株価を引き上げ10円高。中南米でスマホを販売すると報じられた京セラ<6971>は59円高で年初来高値更新。横河電機<6841>は野村證券が目標株価を引き上げ7円高だった。
中国の利下げの恩恵を最も受けたのは言わずと知れたコマツ<6301>と日立建機<6305>。どちらも年初来高値を更新しコマツは96.5円高、日立建機は118円高。中国の都市住民の生命維持装置、空気清浄機を供給するダイキンは売買代金15位に入り366円高で年初来高値を更新した。中国で腕時計が人気のシチズンHD<7762>は40円高、セイコーHD<8050>は31円高でともに年初来高値を更新し、カシオ計算機<6952>も17円高だった。通信関連はNTT<9432>は39円安、KDDI<9433>は94円安と悪かった。大林組<1802>は、海外のインフラ関連事業をテコ入れするためアメリカの中堅建設会社クレマーを買収したが12円安。この業界はそろそろ「東京五輪後」が気になる時期。水素関連銘柄でもある大陽日酸<4091>はストップ高の高値引け。300円高で年初来高値を更新し値上がり率1位だった。