【今週の展望】「SQ前週」なので18000円チャレンジに期待

2014年11月30日 20:11

 今週12月第1週(1~5日)は5日間の取引。12月2日に衆議院総選挙が公示され、名実ともに選挙戦に突入。投開票日は12月14日。どの党が本懐を遂げられるか? タイの株式市場は5日、プミポン現国王(ラーマ9世)の87歳の誕生日で休場する。

 国内の経済指標は1日の法人企業統計が重要。もともと安倍内閣はこれを7~9月期GDPの改定値とともに、2015年10月に予定されていた税率10%への消費増税の最終判断材料にするとみられていた。1日は7~9月期の法人企業統計、11月の新車販売台数、2日は11月のマネタリーベース、10月の毎月勤労統計調査(現金給与総額)、3日は11月のマークイットサービス業購買担当者景気指数(PMI)、4日は11月の車名別新車販売台数、5日は10月の景気動向指数速報値が、それぞれ発表される。

 安倍首相や民主党の海江田代表など各党の党首が顔を揃える衆議院総選挙の「党首討論会」が1日に開かれる予定。総選挙は2日に公示される。12月1日は「映画の日」。この日の記念特別料金を、消費増税分を余分に転嫁し昨年の1000円から1100円に世知辛く値上げした映画館多数。値上がり率年10%は日銀のインフレ目標の5倍の狂乱物価。4日は日銀の佐藤審議委員が高知市で講演する。

 主要企業の決算発表は10月期、1月期、4月期決算企業が中心。1日は伊藤園<2593>、ピジョン<7956>、2日は三井ハイテック<6966>、3日は東京楽天地<8842>、4日はモロゾフ<2217>、綜合臨床HD<2399>、ビットアイル<3811>、アルチザネットワークス<6778>、5日は積水ハウス<1928>、エイチ・アイ・エス<9603>、クックパッド<2193>、鳥貴族<3193>、日東製網<3524>、ポールトゥウインHD<3657>が発表する。今週は新規IPOはない。来週11日に再開すると11営業日で28件という新規上場ラッシュの日々が待つ。

 海外の経済指標は、何と言っても5日のアメリカの雇用統計が最重要。その前座の3日のADP雇用統計、1日の製造業、3日の非製造業のISM景況指数や、公式統計以外にもアメリカの小売セクターの「ブラックフライデー」「サイバーマンデー」などの商戦の結果も気になるところ。4日のECB理事会で「非伝統的」な金融緩和政策の実施が決まるかどうかも注目される。

 1日は中国の国家統計局の11月の製造業購買担当者景気指数(PMI)、HSBCの製造業購買担当者景気指数(PMI)確報値、フランス、ドイツ、ユーロ圏の11月の製造業購買担当者景気指数(PMI)確報値、アメリカの11月のマークイット製造業購買担当者景気指数(PMI)確報値、ISM製造業景況指数、2日はアメリカの11月の新車販売台数、10月の建設支出、3日はオーストラリアの7~9月期国内総生産(GDP)、中国の11月の非製造業購買担当者景気指数(PMI)、HSBCサービス業購買担当者景気指数(PMI)、フランス、ドイツ、ユーロ圏の11月のサービス業購買担当者景気指数(PMI)確報値、ユーロ圏の7~9月期の域内総生産(GDP)速報値、10月の小売売上高、アメリカの11月のADP雇用統計、ISM非製造業景況指数、4日はオーストラリアの10月の貿易収支、小売売上高、5日はドイツの10月の製造業受注、アメリカの11月の雇用統計(非農業部門雇用者数、失業率)、10月の貿易収支、製造業受注指数、消費者信用残高が、それぞれ発表される。

 1日はアメリカの感謝祭に関連した「サイバー・マンデー」。ネット通販サイトではバーゲンセールが行われる。1日から12日までペルーの首都リマで国連気候変動枠組み条約第20回締約国会議(気候サミット/COP20)が開かれる。この会議は過去20年間、南北問題などの政治的なバイアス、牽強付会なものも含めた有象無象の言説が入り乱れてズタズタにされた観がある。原点に戻ってシンプルに、科学的に、真摯に向きあう時ではないか。2日はオーストラリア準備銀行の理事会が開かれ、政策金利が発表される。インド準備銀行の金融政策決定会合が開かれ政策金利が発表される。3~4日はイングランド銀行(BOE)の金融政策委員会が開かれ、4日に政策金利が発表される。3日はブラジル、カナダの中央銀行が政策金利を発表。アメリカの「ベージュブック(地区連銀経済報告)」が発表される。4日は欧州中央銀行(ECB)の定例理事会が開かれ、ドラギ総裁が記者会見する。中国の「国家憲法の日」だが今のところ祝日休場ではない。5日はメキシコの中央銀行が金融政策決定会合を開く。

 アメリカ主要企業の決算は、3日はアバークロンビーアンドフィッチ、4日はダラー・ゼネラルが発表する予定。

 日経平均の11月の月間騰落は、日銀の意表を突いた「ハロウィン緩和」で急騰した10月31日の終値からさらに1046円も上積みされていた。その間、17日にまさかのGDPショックがあり、まさかの年内解散・総選挙が決まった。14日にザラ場ベース17520円、終値ベース17490円の年初来高値まで一気に昇りつめた後は、14日のSQ値17549円どころか終値17400円台にもなかなか定着できないまま2週間が過ぎている。その間にドル円レートが116円前後から118円台後半まで2円50銭以上も円安に振れていたにもかかわらず、である。11月第3週(17~21日)には、5週間ぶりに週間騰落がマイナスになっていた。

 前週末28日は終値で17459円まで上昇して終値ベース年初来高値まであと31円に迫り、前週は週間騰落もプラスに戻ったが、11月後半の2週間はチャートで言えば「踊り場」、マーケット用語で言えば「日柄調整」の時期だった。「日銀砲」こと日銀のETF買い入れは、10月の147億円から11月は380億円へ2.58倍もパワーアップし計6回発射されたが、その性格上、上値追いの進撃を援護射撃するというよりは、凹んだ時の「失地回復」の役割ぐらいしか果たせなかった。

 それは、10月に日銀とともに海外投資家の売りに立ち向かう「三銃士」だったGPIFなどの年金資金も、個人投資家も同様。特に個人投資家の「安くなれば押し目買いするが、高値圏になれば買わずに売る」という投資ポリシーは徹底している。東証の「投資主体別売買動向」によると、個人は9月4週から10月3週にかけて(9月22日~10月17日)4週連続で買い越したが、その間に日経平均終値は9月25日の16374円から10月17日の14532円まで1842円下落した。その後、個人は10月4週から11月3週にかけて(10月20日~11月21日)5週連続で売り越したが、その間に日経平均終値は10月21日の14804円から11月14日の17490円まで2686円も上昇した。個人は見事なまでに徹頭徹尾「逆張り戦略」を実践している。その間、海外投資家は個人とは全くの逆パターンの徹頭徹尾「順張り戦略」だった。