敦賀原発2号機「直下に活断層」と再評価 廃炉の可能性高まる

2014年11月30日 11:50

画・敦賀原発2号機「直下に活断層」と再評価 廃炉の可能性高まる

原子力規制委員会の有識者調査団は11月19日に会合を開き、福井県の敦賀原子力発電所2号機の真下にある断層を地盤がずれるおそれのある「活断層」と認める評価書案をまとめた。評価書が規制委員会で了承されれば廃炉の可能性が高まる。

 原子力規制委員会の有識者調査団は11月19日に会合を開き、福井県の敦賀原子力発電所2号機の真下にある断層を地盤がずれるおそれのある「活断層」と認める評価書案をまとめた。

 敦賀原発2号機については2013年5月に、直下断層が活断層であるという報告が有識者会合でなされた。地震によって発電所が倒壊するおそれがあるため、国は活断層がある原発の再稼働を認めていない。しかし原子力発電所を建設した日本原子力発電は報告書の内容を認めず、あくまで「活断層ではない」と反論。有識者会合に参加した専門家へ日本原電が抗議文を作成し、原子力規制庁が文書を取り次いだことに委員が怒りをあらわにする場面もあった。

 日本原電は独自調査を実施し、「活断層ではない」ことを証明するための資料を提出。真っ向から対立した。原子力規制委員会は再三にわたる日本原電の主張に耳をかさず、日本原電が提出した資料や独自調査の結果を「偏った判断」「額面通りには受け取れない」「調査内容に記されている断層の長さや地層が当初の説明から一貫していない」として受け付けなかった。

 今回の有識者調査団による再評価で「活断層」という判断が下されたことにより、敦賀原発2号機の廃炉の可能性が高まってきた。原子力規制委員会で活断層を認める評価書が受け入れられれば、2号機の再稼働は認められない。1982年に着工、87年に営業運転を開始してから、2011年5月に1次冷却材中の放射能濃度の上昇を確認し停止するまで、稼働期間は24年間となる。放射能濃度上昇の原因は、配管の劣化によって小さな穴が33か所開き、放射性ガスが漏れ出ていたため。営業運転開始以降、一度も配管の点検がされておらず、ずさんな管理体制が問われた。

 原発の寿命は40年程度といわれているが、敦賀原発2号機の廃炉が決定すればそれをはるかに下回ることになる。さらに廃炉には20~30年かかり、費用は約700億円が必要になると試算されている。稼働期間が短ければ利益は見込めなくなり、残されるのは負の遺産だけだ。日本原電の存続も危ぶまれる事態で、管理・廃炉含め、原発計画を根底から見直す必要に迫られている。(編集担当:久保田雄城)