人工知能を使ってロボットとコミュニケーションがとれる

2014年12月02日 12:07

 日本では、労働力不足を補う手段としてロボットが有力視されている。ロボットと人が共創していくためには、ロボットが相手の意図を読み取り、対話し、考え、学べる「知能」を持つ必要がある。一方で、クラウドコンピューティング、機械に自動的に概念や行動プログラムを学習させる機械学習、膨大なWeb情報から必要な分野の知識情報の抽出などの研究が進展し、AIの進化が急速に進んできている。今回はそのAIにより人と会話できるロボット用のコミュニケーションプラットフォームが登場した。

 大日本印刷(DNP)<7912>は12日、人とロボットのハイレベルなコミュニケーションを支援する「知能コミュニケーションプラットフォーム」の構築を開始すると発表した。このプラットフォームは、AI(Artificial Intelligence:人工知能)を使い、ロボットがイノベーションにつながる知的創造や、人の意図を察した対話など、人とハイレベルなコミュニケーションがとれる知能を実現するもの。今回、第一弾として、「音声AIナビゲーションシステム」と「対話型AIシステム」を開発した。

 「知能コミュニケーションプラットフォーム」は、音声認識や、発想、対話などコミュニケーションに必要な知能処理機能をクラウド型で提供。また、対話を重ねることで知識や感情などの情報が蓄積され、知能レベルや感情を察する精度が向上する。企業の新商品開発や新規事業の検討、店舗の接客における関連商品や意外な商品の提案、娯楽施設などでの生活者とのコミュニケーションツール、などに応用できる。

 その中で音声AIナビゲーションシステムは、展示会やイベント会場に設置したデジタルサイネージなどに来場者が話しかけることによって、ナビゲーションシステムをインタラクティブに操作することができる。会場案内、展示内容、出演者などの情報を動画や静止画、音声で提供する。人が話す日常的な言語をコンピューターが処理解析する自然言語処理技術により、来場者が希望するイベント関連情報などを的確に表示する。

 一方、対話型AIシステムは、音声によるロボットとの対話を通じて、その言葉に関連する新たな言葉を大量のWebページのデータから自動学習する。その学習結果を蓄積することによって、関連用語や関連情報、意外な発見や気付きにつながるアイデアを提供する。

 今後DNPは、人とロボットのコミュニケーションに必要な機能を開発するとともに、今回開発したシステムの利便性の向上をはかり、2015年までに「知能コミュニケーションプラットフォーム」の実用化を目指す。(編集担当:慶尾六郎)