業務用掃除ロボットが対象とする市場は、現状人手による作業が中心で、総じて作業効率は低く、作業環境もよくない。現状では、安価な労働力に依存する部分が大きい分、少子高齢化が進めば労働力そのものの確保が難しくなるのは否めない。このため、業務用掃除ロボットは、その人手に代わる手段として有効になると思われる。
矢野経済研究所では業務用掃除ロボット市場の調査を実施、その結果を「業務用掃除ロボット市場に関する調査結果 2014」として発表した。それによると、業務用掃除ロボットは、2013年度までは参入企業も製品数も少ないが、2014年度に入って、新規市場参入もしくは新規参入を表明する企業が相次ぎ、市場が活性化する様相を呈しているという。2014年度の国内業務用掃除ロボット市場規模(メーカ出荷数量ベース)は 875台の見込みとした。
また、床面掃除ロボットは新規参入が相次ぎ、最も活性化している市場である。2014年度に製品が出揃うことで、作業対象や掃除内容に応じたメーカ各社の営業提案が期待でき、2015年度以降には本格的な需要開拓が進むと予測した。また、太陽光パネル掃除ロボットは、2014年度から新規参入が見られ、公共・産業向けの太陽光発電所で本格的な需要開拓が進むと予測した。
業務用掃除ロボットは、人の作業の代替ができる反面、人の仕事を奪う側面がある。コストダウンの手段になるが、使い方によってはコストアップする可能性もある。人以上の掃除効果が付加価値として認められれば、コストアップも受け入れられるが、まだそこまでの評価は得ていないと分析した。ユーザ企業側にロボット使用の経験が少ない分、現場ごとの作業条件や制約に応じたロボットの使い方を、メーカ側から如何に提案できるかどうかで効果も弊害も生まれてくるという。
しかし、2015年度以降は、国内の経済状況に大きく左右されるという。国によるサービスロボット開発促進策や2020年の東京オリンピック開催に向けてサービスロボットのニーズが高まり、業務用掃除ロボットも数量、金額ともに前年度対比で 2 桁増を続けていくと予測した。決して大きな市場規模は期待できないが、堅調な製品の拡大や用途の広がりもあり、将来に向けた可能性は存在する。2020年度の国内業務用掃除ロボット市場規模(メーカ出荷数量ベース)は 1850 台になると予測した。(編集担当:慶尾六郎)