高専生を企業の即戦力に 市場の変化に合わせて教育内容の変更検討

2014年11月06日 09:45

画・高専生を企業の即戦力に 市場の変化に合わせて教育内容の変更検討

文部科学省は高等専門学校(高専)の教育内容を社会のニーズにマッチさせるため、2015年度に学科や専門領域を見直す方針だ。介護や災害対策に実用的なロボット製作や、格安航空事業を想定した技術力の育成を目指す。

 テクノロジーの細分化や技術開発が進んだことで、高等専門学校(高専)の学生が教わる教科の内容をより実践的なものにする必要があるとして、文部科学省は2015年度に新たなプログラムを開始する方針だ。高専の卒業生は技術系の即戦力として企業からも高い期待が寄せられている。市場の需要に合わせたカリキュラムを組む必要性が議論されており、現行の学科や専門領域の見直しが迫られている。

 手始めとしてまず、いくつかの国立校で実験的に新プログラムを開始していく予定だ。「ロボット」「情報セキュリティー」「航空機整備」の3つを柱として、それぞれ教育プログラムを設定。学生の達成度や成果のほどを確認したのち、すべての高専に導入を進めていく。

 「ロボット」では、現代社会に必要とされる機能を持つロボット製作が中心の構想となる。現在の高専では実用化を想定していないケースがほとんどだが、新たな教育プログラムでは介護や福祉、防災や救助に役立つロボット製作を行っていく。「情報セキュリティー」では、ソフトウエアのみならず、ハードウエアまでカバーできるセキュリティー対策を担える人材育成を目標に据える。「航空機整備」は、世界的な航空規制緩和の流れから国際競争が激化する市場で、低価格競争に勝つことができる技術力を身に付けさせる。

 高専は、国立、公立、私立を合わせて57校ある。総学生数は約6万人で、5年間の教育期間を設けている。卒業後は幅広い分野で活躍しており、12年度3月の卒業生の就職先は製造業が56.7%、情報通信業が10.4%、建設業が9.1%、電気・ガス・水道業が7.8%となった。

 文部科学省は今後、国立高等専門学校機構と高専、地方自治体、企業などと意見を交わしながら、どのような教育内容が求められているのかについて整理していくとしている。具体的な計画は、来年度予算の概算要求に含められている国立高等専門学校機構の運営費交付金が正式決定したのち、明らかにしていく方針だ。(編集担当:久保田雄城)