大塚HDは前日、大塚製薬を通じてアメリカのバイオベンチャー、アバニア・ファーマシューティカルズにTOBをかけ約35億3900万ドル(約4200億円)で買収すると発表した。アバニアは中枢神経領域の医薬品を販売し、どこかの議員さんのように人前で突然泣き出すなど、自分の感情がコントロールできなくなる情動調節障害(PBA)の世界初の治療薬も発売している。アルツハイマー型認知症関連の有力な新薬候補も持ち臨床試験準備中。大塚HDにとっては統合失調症の治療薬「エビリファイ」の特許切れ後をにらんだ戦略的なM&Aだが、相手は研究開発負担が重く最終損益が7547万ドル(約90億円)の赤字で、マーケットでは「4200億円は高すぎないか?」という反応が支配的で4日ぶりに反落し193円安で値下がり率9位。経営陣の決断は吉と出るか? 凶と出るか?
ミドリムシのユーグレナ<2931>はこの日、東証1部にさっそうと初登場したが57円安とビターな初日。同じくこの日、東証1部に指定替えになった海藻、ドレッシングの理研ビタミン<4526>は、260円高で年初来高値を更新し値上がり率5位だった。
レディーズシューズのアマガサ<3070>の2~10月期は増収増益。営業利益は24%増で通期見通しをオーバーし上方修正期待でストップ高比例配分の150円高。ユナイテッドアローズ<7606>は11月の小売とネット販売を合わせた既存店売上高が2カ月連続で前年同月を下回り210円安で年初来安値を更新し値下がり率5位。ファーストリテイリングは前日に11月の国内ユニクロ既存店売上高を発表し1.9%増で4ヵ月連続プラス。しかし9月、10月の2ケタ増から伸びが鈍化。客単価は8.0%増だが客数は5.7%減で3ヵ月ぶりのマイナス。終値は540円高だった。
西日本の「ほっかほっか亭」を運営するハークスレイ<7561>は1月から10~30円値上げすると発表し13円高で年初来高値更新。原油安で買われるJAL<9201>はクレディスイスが目標株価を引き上げ120円高で年初来高値更新。個人情報漏洩事件のあおりで4~9月期の最終損益が赤字だったベネッセHD<9783>は前日、12月中に本社およびグループ約40社で約300人の希望退職を募集すると発表し165円高。1955年の創業以来初の希望退職募集。リストラ関連費用約50億円の特別損失をすでに計上済み。
電通<4324>は2017年までの3年間でM&Aに1000億円投資という観測記事が出て45円高で年初来高値更新。前日、特許侵害をめぐり5月に任天堂<7974>がオランダのフィリップスに起こされた訴訟の和解が発表された。特許のクロスライセンスで合意し、フィリップスは各国での訴訟を取り下げる。賠償支払いが回避された任天堂はアメリカの「サイバーマンデー」でゲーム機販売が好調とも伝わって250円高。ゲーム関連ではマーベラス<7844>の快進撃が続き、売買高8位、売買代金2位に入り181円高で年初来高値を更新し値上がり率3位。新興市場は東証1部の主力銘柄に投資家の目が向き、ユーグレナ〃卒業〃の影響もあって軟調。日経ジャスダック平均は0.79%下落、東証マザーズ指数は1.83%下落した。
この日の話題は「新語・流行語大賞」「今年の漢字」と並ぶ師走恒例の「日経MJ・2014年ヒット商品番付」の発表。東横綱は消費増税後の反動減に直面した百貨店を潤し、コンビニまで免税対応にさせた訪日外国人の「インバウンド消費」で、関連銘柄の代表格のラオックス<8202>は全市場の売買高4位で5円安、三越伊勢丹HD<3099>は値動きなし。西横綱は上期の関脇の地位から見事綱取りを果たした「妖怪ウォッチ」で、関連銘柄の代表格のハピネット<7552>は68円高、バンダイナムコHD<7832>は14円高。東大関は系列映画館の収入増を通じて映画会社を潤したディズニー映画「アナと雪の女王」で、オリエンタルランド<4661>は100円安。西大関は大阪の「ハリーポッター in USJ」。お隣さんなのでUSJ関連銘柄に祭り上げられる櫻島埠頭<9353>は7円安。東張出大関は「錦織圭」、西張出大関は「羽生結弦」とスポーツ界のヒーロー2人。東関脇は「格安スマホ」、西関脇はアップルの「iPhone 6」でどちらも関連銘柄がにぎわった。その代表格の日本通信<9424>は2円高、フォスター電機<6794>は23円高で年初来高値更新。東小結の「デミオ」のマツダ<7261>は14.5円安、西小結の「ハスラー」のスズキ<7269>は90円高で年初来高値を更新していた。(編集担当:寺尾淳)