安倍政権が強く主張していた「女性の活躍推進」。保育の充実や、指導的地位に占める女性比率の向上などが掲げられていたが、実現は先延ばしになりそうだ。衆院解散で、企業に女性登用の数値目標値を掲げるよう求めた法案などが「棚上げ」になった。
足元では、男性と女性の意識ギャップが目立つ。楽天リサーチによるアンケート結果では、日本が将来、女性にとって働きやすい環境になっていく「変化」を感じているのは男女全体のわずか2割(22.5%)だった。「変化を感じていない」が41.3%と最も多く、次いで「どちらとも言えない」が約3割(36.2%)となっている。調査は今年11月、全国の20歳~69歳の男女1000人を対象に、ウェブアンケートで実施した。
男女別でみると、女性の方が変化を「感じていない(46.4%)」割合が、男性より10ポイント以上高かった。特に、結婚や育児などのライフイベントを迎える20代~40代女性では、52%と半数が「変化を感じていない」と回答している。他の性別年代の平均36.7%と比べ、働き盛りの女性たちは15ポイントも現状を厳しく見ている。
さらに、「女性が職場で活躍し続けるために最も重要だと思うこと」を聞いたところ、全体では「育児休暇からの円滑な職場復帰に向けた支援(16.1%)」が最も多かった。次いで「職場での人間関係(14.2%)」、「短時間勤務、パートやアルバイトなどの勤務体系の柔軟性(13.7%)」となっている。男女別でみると、女性は「勤務体系の柔軟性(19.4%)」を挙げる割合が高いのに対し、男性は8%と、11.4ポイント低くなっている。
「時間に融通がきく働き方なら両立できそう」と考える女性たちのニーズに、現場はまだ追いついていない。さらに、育休や時短勤務制度をいくら充実させても、復帰したワーキングマザーへの対応は「手探り状態」という職場も少なくない。育休後の「復帰支援」とは必ずしも、働く母親に簡単な仕事しか与えないことを意味しない。彼女たちの能力を適正に評価し、短時間でも成果を上げられるような「働き方の変革」が、男女ともに必要なのではないか。これは、もはや「働く母親」だけの問題ではない。(編集担当:北条かや)