連立与党重点政策 「玉虫色」

2014年11月30日 08:27

 連立与党としての重点政策が29日までに発表された。重点政策は「経済再生の実現」のほか、地方創生・女性の活躍推進、社会保障など安心の確保、大震災からの復興と防災・減災対策、原発・エネルギー政策、積極的平和外交の推進、衆議院の選挙制度改革と定数削減の7項目が決められたものの『玉虫色』になっている。

 「景気回復により拡大した企業収益を確実に賃金上昇につなげ、個人消費を拡大させることで、更なる企業収益の拡大に結び付ける環境を整えます。この経済の好循環を中小企業や地方など全国各地に広げます」と経済再生の実現を筆頭にあげたものの、さきの臨時国会で与野党最大の論戦にもなり、経営・労働双方の関心をよんだ「労働者派遣法改正」など労働法制に関する部分は入っていない。

 消費税引き上げについては「消費税率10%への引き上げは2017年4月に行います」と明記する一方で「軽減税率制度については税率10%時に導入します。2017年度からの導入を目指して、具体的な検討を進めます」としているので、公明党は「2017年10%引き上げ時に導入」として、言い換えれば4月からの導入と解せる説明をしている。自民党は「2017年度からの導入をめざし検討を進める」と説明しており、2017年4月から2018年3月末までのいずれのスタートでも解釈上可能になる。

 原発の再稼働についても「原子力規制委員会が策定した厳格な規制基準を満たすことを大前提に進め、国も前面に立ち、立地自治体等関係者の理解と協力を得て取り組みます」との文言で再稼働を早期に進めたい自民党の姿勢を反映した再稼働積極姿勢をみせる一方で、公明党は原発ゼロをめざすとしていることから「可能な限り原発依存度を減らします」の文言も入り、着地点を見つけたような印象を受ける。

 安保・外交では「中国・韓国・ロシアなど近隣諸国をはじめ、地球儀を俯瞰する積極的な平和外交を展開し、世界の平和と安定に貢献します」と集団的自衛権の解釈変更の閣議決定に基づく安保法制の見直しなど、安保政策で世論を二分している案件なのに重点政策の文言には「集団的自衛権」や「安保法制の見直し」などの文言は入っていない。(編集担当:森高龍二)