安倍政権は成長戦略の柱のひとつとして、「女性の活躍推進」を掲げる。配偶者控除の見直しで女性の社会進出を後押しするほか、消費税率を10%に引き上げることを前提に、得られる財源で保育サービスを拡充させる方針だ。一方で世論は、「女性の活躍」という耳あたりの良いスローガンに、まだまだ懐疑的な見方が多い。
内閣府が今年8~9月、全国の20歳以上の男女を対象に行った世論調査によると、「夫は外で働き、妻は家庭を守るべきである」という考え方について、「賛成」が44.6%、「反対」が49.4%となった。2年前と比べて、「夫は外、妻は家庭」への「賛成」は7ポイント低下し、「反対」が4ポイント増加した。90年代から一貫して、「夫は外、妻は家庭」については「反対」が増える傾向にあったが、2年前に一転して「賛成」が増加。今回調査では、ふたたび「反対」が増える結果となった。安倍政権の謳う「女性活用」には、追い風かもしれない。
しかし、「女性が職業をもつこと」についての考え方をみると、一筋縄ではいかない。「女性は職業をもたない方がよい」が2.2%、「結婚するまでは職業をもつ方がよい」が5.8%、「子どもができるまでは職業をもつ方がよい」が11.7%、「子どもができても、ずっと職業を続ける方がよい」が44.8%で、「子どもができたら職業をやめ、大きくなったら再び職業をもつ方がよい」が31.5%。2年前と比べて、「子どもができても、ずっと職業を続ける方がよい」が低下(47.5%→44.8%)する一方、「子どもができるまでは職業をもつ方がよい」が増えてしまった(10.0%→11.7%)。女性が出産後も働き続けるのが難しい現状を、反映したかのような結果だ。
「子どもができるまでは職業をもつ方がよい」などと答えた人に理由を聞いたところ、「子どもは母親が家で面倒を見た方がいいと思うから」が51.3%、次いで「女性は家庭を守るべきだと思うから」(26.5%)等となった。理由に、男女で大きな違いはみられない。「女性の活躍推進」ムードに反対ではないが、女性の就労については厳しい見方が根強いようだ。(編集担当:北条かや)