メガバンクのコールセンターが人工知能に?みずほ、三井住友が導入

2014年12月17日 09:45

 三井住友銀行<8316>とみずほ銀行<8411>は11月5日と6日、相次いで銀行のコールセンターに自然言語解析と学習機能を備えた質問応答システム「Watson(ワトソン)テクノロジー」を導入すると発表した。

 Watsonテクノロジーは、オペレーターなどから質問をされると、さまざまなデータから素早く関連性のある情報を見つけて解析し、複数の解答候補がどの程度確かなのかを検証し、評価を行う。また、高度な自然言語(人間の話す言語)の理解ができる。加えて学習能力も備えている。利用を重ねていくことによって、知能は高度化する。ユーザーからのフィードバックを追跡し、成功と失敗の両方から学習する。オペレーターの質問に対しタイムリーかつ的確な回答を導き出す技術基盤だ。

 物理的にはラックに搭載されたPower Systems 750で構成され、数千個のPOWER7プロセッサ・コアを搭載し、OSにはLinuxを採用した。2011年にはアメリカのクイズ番組でクイズ王と対決して勝利したというエピソードもある。

 みずほ銀行はWatson導入により「音声から得られる新たな情報と既存取引情報や最新金融情報との融合、情報分析力の飛躍的向上、より深度あるお客さまニーズの把握、あらゆるチャネルにおけるOne to One かつタイムリーなサービス提供の実現を目指す」としている。同行は、システム構築合意の第一弾として、みずほ銀行のコールセンター業務に本件システムを導入し、照会に対して的確かつ迅速に回答ができるような体制を構築する。
 
 両行ともユーザーの質問にWatsonが直接回答するわけではなく、オペレーターを介するものだが、対応時間は1回平均9~10分から7~8分に短縮できるともいう。
 
 三井住友銀行は都内と神戸、福岡両市で運営している計3ヶ所のコールセンターで9月に着手した実証実験を年内に終了。検証を踏まえて年明け以降、計数百人の応対要員を対象に、自動音声対応による本人確認補助のほか、取引状況などの解析を踏まえて、要員が最適な商品・サービスを迅速に紹介できるよう支援するという。

 なおWatsonの名称は米IBM の創業者、トーマス・J・ワトソン・シニアに因んだものと言われている。(編集担当:久保田雄城)