オムロンの「ラリー継続・卓球ロボット」は“人間に優しい”近未来の産業ロボットを標榜/CEATEC

2014年10月11日 18:06

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オムロンの「ラリー継続・卓球ロボット」は、“人とのラリーを継続させる”ことを最大目標としたマシン。決して対戦型の機械ではなく、“人に優しい知能”を持った機械だ

 10月7日から千葉・幕張メッセで開催された「CEATEC JAPAN2014」で、1台のユニークなロボットが人気を集めていた。京都のオムロンが展示・デモを行なった「ラリー継続・卓球ロボット」である。

 設計コンセプトはオムロンが標榜する「人と機会が最適に調和した豊かな社会」をつくるための最先端技術「センシング&コントロール」メカニズムに、機械が自ら考えて行動する“Think”を付加して、機械が人の行動に合わせる技術開発へのひとつのチャレンジ&デモンストレーションにあるようだ。

 オムロンのPRグループ・横田有弘氏によれば、「これまでの産業用機器&ロボットと作業を行なう人間は“危険だから”という理由で隔絶されていた。しかし、この卓球ロボットは、“人間に優しい”。人間の行動に合わせて協調して、人が最も返球しやすい場所にピンポン球を返してくれる。決して攻撃型ラリーにはしない」ロボット。あくまでも「ラリーを継続させることを最大目標とした」卓球ロボットだという。

 仕組みは2系統のステレオカメラを用いた画像センサーで、「人の位置」「人が持つラケット位置」「ピンポン球の3次元解析した位置&速度」を秒間80コマで収集・計測して、人がロボット側への打ち返してくる「軌道と速度」を予測。ロボットはその予測情報をもとに産業用コントローラーが1000分の1単位で計算してラケット位置と軌道を決めて返球する。「返球はあくまでも相手に応じた速度で、相手が拾いやすい場所に打つ」(横田氏)という。

 ここに、オムロンがいうところの“機械が考える(Think)”要素が盛り込まれ、“機械が人間に寄り添う”同社の産業用ロボットの今後のカタチが内包されているわけだ。

 このロボットに使われているモーターやセンシングシステム、コントローラーは同社の最新システムだが、決してプロトタイプではないという。既に実用化されて産業機器として稼働しているシステム・機器を流用して出来たロボットだ。

 これまでの産業用機器(ロボットやオートメーション機器)は、人に代わって作業を行なう装置だった。が、オムロンは「人の動き、そしてその意図を把握したり、人の意志を理解するなど状況に応じて人を支援。人とともに目的を達成する」のが近未来の産業機器だとしている。同社の「センシング&コントローラー」技術は、オムロン流の「Think」(ある意味で人工知能とも表現できる)を得て「人と機械が最適調和した社会」を目指す。

 「将来は“人の疲労度を検知して”作業スピードを制御する(落とす)機械も登場するかも知れませんね」と横田氏は微笑んだ。(編集担当:吉田恒)