内閣府は12月10日、11月の消費動向調査の結果を明らかにした。消費者態度指数(一般世帯)は、前月から1.2ポイント低下して、37.7となった。今年8月以降、連続4か月で悪化していることが分かった。消費者態度指数は、景気の動きに対する消費者の心理が反映されたもの。今後半年間の暮らし向きがどのように変化するのかを消費者に尋ね、「良くなると思う」や「悪くなると思う」といった先行きを予想した回答を集計して算出される。
項目別に見ると、「暮らし向き」が前月比1.5ポイント低下して34.9、「収入の増え方」が0.4ポイントの低下で37.6、「雇用環境」が1.9ポイントの低下で42.8、「耐久消費財の買い時判断」が1.1ポイントの低下で35.4となった。すべての項目で悪化したのは今回で3ヶ月連続となり、消費者の心理的不安の強さが伺える結果となった。
消費者心理が悪化している理由には、生活必需品の値上げが関係している。アベノミクスが進める経済政策の影響で、円安により輸入に頼っている原材料が軒並み高騰。ハムやソーセージ、バター、アイスクリーム、冷凍食品、カレールー、かまぼこやインスタントラーメンなど、食料品をはじめとする生活品の値上げが相次いでいる。給与の上昇以上に物価が上昇しており、家計への負担が増している状況だ。
さらに、「1年後の物価」に関する消費者の見通し(一般世帯)では、「2%以上~5%見満で上昇する」という回答が最も多く、40.6%を占めた。次に多かったのは、「5%以上上昇する」が30.6%、「2%未満で上昇する」が17.6%という結果となった。前月比では「上昇する」と答えた割合は1.3ポイント増となり、「低下する」としたのは0.2ポイント増。一方、「変わらない」と答えたのは1.7ポイント減少した。
物価が安定感を失うことで、消費者の不安が増している。円安の影響は商品の値上げラッシュ以外にも、体力の乏しい中小企業の経営圧迫を招いており、景気の回復が遅れるほど事態は深刻さを増すだろう。衆院選は自民党の圧勝となったが、それをアベノミクスへの信任だと解釈するのなら、景気回復の効果を一刻も早く結実させなければならない。(編集担当:久保田雄城)