全国でユニークな小売販売を行っているドン・キホーテ<7532>がコンビニ市場に進出している。それも普通のコンビニではない。「広い・安い」を目玉とした「ビッグ・コンビ二」がコンセプトだ。
店舗名は「驚安堂(きょうやすどう)」。店舗前面の「驚安堂」ロゴの両脇には「ビッグ・コンビニ」という文字が掲げられている。コンビニということで、主力製品はやはりドリンク、菓子、総菜などの食料品だが、驚安堂はそれに加え、雑貨、衣料品、化粧品からスマホ関連グッズなどあらゆる商品が陳列されている。もはやプライベートブランドばかりが主力製品となってしまった既存のコンビニ店舗と比較しても、明らかなバラエティさやワクワク感が感じ取れるに違いない。しかも値段はドン・キホーテのサプライチェーンを利用しているため安い。旧来のドン・キホーテのような「圧縮陳列」は避けているというが、やはり他のコンビニと比較するとこれだけの商品を揃えているだけあって、通常のコンビニより圧縮感が感じ取れる。
すでに2013年6月に1号店を開店しており、その後、大宮南銀(さいたま)、桜上水(東京・世田谷)、目白(東京・新宿)などに店舗展開している、同社は10店舗程度を出店した時点で経営状態を検証し、驚安堂の全面的な展開を決断していくという。
驚安堂のもう一つの特徴は広さだ。例えば大宮南銀店は地上1階、地下1階で、1階には食品や酒を、地下には雑貨類を置く。店舗面積は約650平方メートルだ。品揃えも、繁華街にある大宮南銀店と、住宅地が多い桜上水店では異なるようにしているという。どちらにしても駅前の一等地に出店することにより、狭い商圏での集客力をアップし競合コンビニに対抗するというのが戦略のようだ。
コンビニ業界では飽和した現状を打破するためにスーパーマーケット的要素を加えた「まいばすけっと(イオン<1267>)」、「ローソンマート(ローソン<2651>)といった試みも多いが、インパクトの点では驚安堂に水をあけられているかもしれない。しかし全国展開した矢先、これまで直営店しか経験のない同社が、比較的大きな店舗を家族経営のフランチャイジーで回すことになるのかどうかを考えるのは、今の時点ではまだまだ杞憂だろうか。(編集担当:久保田雄城)