【今週、来週の展望】年明けに「暗黒の1月」は繰り返されるのか?

2014年12月28日 20:27

 アメリカ主要企業の決算発表は、1月7日はマイクロン・テクノロジー、モンサント、8日はアポログループ、ベッド・バス・アンド・ビヨンド、コンステレーション・ブランズが決算発表を行う予定。

 2014年の東京株式市場は今週、29日、30日の2日間を残すのみ。2012年11月15日にアベノミクス相場が始まって以来、2012年も2013年も日経平均は大納会が年初来高値で引ける「掉尾の一振・年間最高値引け」で終わっているが、2014年も12月8日の18030.83円(ザラ場ベース)、17935.64円(終値ベース)の年初来高値を更新できるチャンスは十分ある。26日の終値17818.96円からザラ場ベースの年初来高値まで約212円あるが、終値ベースの年初来高値はあと117円上昇すればクリアでき、「掉尾の一振・3年連続年間最高値引け」は十分、射程内である。

 26日終値時点のテクニカルポジションを確認しておくと、5日移動平均線の17747.70円も25日移動平均線の17494円も75日移動平均線の16500円も200日移動平均線の15520円も全て下にあり、日足一目均衡表の「雲」は16024~16570円に位置する。ボリンジャーバンドで言えば17813円の「25日線+1σ」と18132円の「25日線+2σ」の間にあるが、前週は「+1σ」線の上に行ったり下に行ったりしていた。上値を追える余力はまだある。それは+1.86%の25日移動平均乖離率についても言える。その+5%ラインは18368円で、まだ500円以上も上空にある。騰落レシオは107.56で前々週末の19日の103.73よりも増加していたが、24日の112.02をピークに低下している。それとストキャスティクスの96.0(9日Fast)が過熱ゾーンにやや近づいているぐらいで、現状は「買われすぎ」とは言いがたい。

 今週の上値のメドは、18000円を突破できるとしてボリンジャーバンドの「25日線+2σ」の18132円あたり。下値のメドは12月の「まぼろしのSQ」17281円も考えられるが、2日間しかないので25日移動平均線の17494円あたりとみる。今週、クリスマス休暇が終わって海外投資家が東京市場に帰ってきたら、やはり「掉尾の一振・3年連続年間最高値引け」は相当意識されるだろう。26日のNYダウは史上最高値を更新しており、今週は経済指標も大手企業の決算発表も新規IPOもなく、前週に続き政府サイドから補正予算の経済対策や税制改正がらみの材料が小出しに出てくると予想されるので、多少強気でいってもいいだろう。ということで、今週の日経平均終値の変動レンジは17494~18132円とみる。2014年をハッピーエンドで締めくくれるだろうか?

 年が明けた来週、2015年1月5~9日についてマーケット関係者の間でけっこう関心を呼んでいるのは「『暗黒の1月』はまた繰り返されるのか?」という話である。

 2013年の日経平均が16291円の「掉尾の一振・2年連続年間最高値引け」でハッピーエンドで終わり、大納会のセレモニーではサプライズゲストで東証アローズに安倍首相が姿を現して喝采を浴びた後、年末年始にメディアで流された2014年のマーケット予測には「日経平均は最低でも2万円突破」「3万円も望める」など、強気のコメントが並んでいた。しかしそれに、真夏のトレンドを先取りして氷水をぶっかけるかのように、年明けから日経平均はボロボロ下げ続け、1月31日の終値は大納会から1377円安の14914円。2月4日には2283円安の14008円で年初来安値引けし「節分底」ならぬ「立春底」になった。これが「1月の暗黒」である。

 そのトラウマはあまりにも深刻なのか、12月の東京市場では「大納会にかけてあまり上がりすぎてもね……」と、「掉尾の一振」を抑えて終わりにしたいかのような声も聞こえていた。前週の東京市場がザラ場中、なかなか上値を追えずにモタモタしていたのは、海外投資家がクリスマス休暇で薄商いだった影響以外に、そんな複雑な市場心理も影響していたのかもしれない。

 しかし、その2013年末は「派手に上昇しすぎたから『暗黒の1月』の悪魔を呼び込んでしまった」というほど「買われすぎ」だったかというと、実はそうでもない。2013年12月30日の終値16291.31円は、25日移動平均乖離率は4.1%で「買われすぎ」の目安の5%には達していなかった。ボリンジャーバンドは25日線+2σと+3σの間の「確率5%ゾーン」でやや買われすぎ。騰落レシオは101.73で、100未満だった12月16~27日よりは上でも、9~13日の102.57~111.86の水準よりは下で、買われすぎとは言えなかった。RSI(相対力指数)も74%で「買われすぎ」の目安の80%に達していなかった。どうやら「年初来高値更新」の強烈なインパクトで「買われすぎだった」というイメージが強く残ったらしい。