25日はクリスマスで欧米の株式、債券、為替、商品市場は一斉に休場。26日朝方の為替レートはドル円は120円台前半、ユーロ円は147円近辺でユーロがやや高くなっていた。シカゴCMEも休場。月末の金曜日で「官庁御用納め」なので、取引時間前に国内経済指標が集中的に発表された。11月の全国消費者物価指数(CPI)は+2.7%で18ヵ月連続プラス、12月の東京都区部消費者物価指数(CPI)は+2.3%で20ヵ月連続プラス、11月の労働力調査は、有効求人倍率は1.12倍で1992年以来22年半ぶりの高水準で、完全失業率は3.5%。11月の家計調査の二人以上世帯実質消費支出は-2.5%でプラスに浮上できない。11月の鉱工業生産指数速報値は-0.6%で市場予測の+0.8%を下回った。11月の商業販売統計速報の小売業販売額(全店ベース)は+0.4%で5ヵ月連続プラス。11月の毎月勤労統計調査の1人当たり現金給与総額は-1.5%で9ヵ月ぶりにマイナスに転じた。
補正予算の経済対策について総額3.5兆円、消費・地方支援に1.8兆円という数字が報じられた。年明けに国会で審議される。日銀の黒田総裁は前日の講演で企業に賃上げを求めていた。昔なら考えられない異例のこと。その「日銀砲」だが、前日は前場マイナスでも撃たれずじまい。頼りにしていいのかわからないまま日経平均は29.84円安の17778.91円で始まる。TOPIXもマイナスで始まるがすぐプラスに転じた。この日は12月期決算銘柄の「配当権利落ち日」なので序盤の配当分の下落は承知の上。日経平均は午前9時台に2回プラスに浮上して9時22分に17818円の高値をつけるが、その後はマイナスに落ちたままプラスに浮上できない。10時台は17770~17790円の間で動く。香港はこの日も英国由来の「ボクシングデー」で休場。上海はプラスで始まる。11時台も変化はなく11時18分に17769円の安値をつける。しかし前場ずっとTOPIXはプラス。前引けは29円安の17779円でもTOPIXはプラスだった。
後場は前引けより少し高く再開し、午後0時台から上昇が始まり1時を回ると「お待たせしました」とプラス浮上。1時13分に17840円まで上昇する。前日は沈黙した「日銀砲」がどうやら火を吹いた模様。1時に日本自動車工業会から自動車生産・輸出実績が発表され、生産は-12.2%で5ヵ月連続マイナス、輸出は-11.5%で4ヵ月連続マイナス。1時台にマイナスにタッチする一瞬があったがすぐ元に戻る。2時台は2時17分に再び17841円の高値を取り、プラス圏で安定。2時35分には17843円まで上昇した。しかし終盤は上値をグイと抑えられ、終値は10.21円高の17818.96円と反発し3勝1敗、前週末19日終値から197.56円上昇して今週の取引を終えた。日中値幅は74円。TOPIXも+6.24の1427.50と反発した。売買高は16億株、売買代金は1兆3676億円で前日に引き続いて大台割れの薄商いだった。
東証1部の値上がり銘柄数は1422で全体の76%を占めた。値下がり銘柄数は362。33業種別騰落率は上昇26業種、下落7業種。プラスセクター上位は電気・ガス、建設、不動産、金属製品、その他金融、海運など。マイナスセクター下位は食料品、石油・石炭、ゴム製品、鉱業、水産・農林、小売など。
日経平均採用225種は値上がり155銘柄、値下がり64銘柄。プラス寄与度1位は珍しくトヨタ<7203>が入り、2位はファナック<6954>でともに+3円。マイナス寄与度1位はファーストリテイリング<9983>で-11円で前日に続いてブレーキ。2位はトレンドマイクロ<4704>で-6円だった。
メガバンクはみずほ<8411>は1円高、三菱UFJ<8306>は2.3円高、三井住友FG<8316>は30円高。野村HD<8604>は3.5円高だった。トヨタは85円高だったがホンダ<7267>は41円安と逆行安した。富士重工<7270>は19円高、マツダ<7261>は38.5円高、日産<7201>は5.5円高。電機大手はソニー<6758>は6.5円安だったが、パナソニック<6752>は2円高、シャープ<6753>は5円高、日立<6501>は9.4円高、NEC<6701>は5円高。しかし富士通<6702>は3.5円安。東芝<6502>はIHI<7013>と共同でNEDO(新エネルギー・産業技術総合開発機構)から委託された潮流発電の実証実験を行うと報じられ6.8円高。IHIは10円高で年初来高値を更新した。
岡谷鋼機<7485>は3~11月期の純利益が87億円で9年ぶりに過去最高益を更新して130円高。後場、ノーリツ鋼機<7744>にM&Aの材料が急浮上しストップ高の100円高で値上がり率2位。ペン先部材で世界シェアの約50%を握る「小さな巨人」浜松市のテイボー(非上場)を1月に買収と報じられた。ノーリツ鋼機もテイボーも医療分野の強化を志向し事業展開の方向性が一致した。象印マホービン<7965>は11月期決算を発表し、調理家電の圧力IH炊飯ジャーが国内でも中国、台湾でも好調で、営業利益は従来予想の55億円を上回る前年同期比3.2倍の58億7700万円、純利益は2.3倍の37億円。しかし2015年11月期の営業利益見通しは33.6%減の39億円で42円安だった。
情報システム関連の2銘柄に買いが集まり値上がり率ランキング上位進出。独立系ソフト開発のNSW<9739>はストップ高の150円高で年初来高値を更新し値上がり率1位。宋文洲氏が設立した営業支援システムのソフトブレーン<4779>は24円高で同4位。
東京都は前日に「長期ビジョン」の政策目標を発表し「都内916キロの無電柱化」が盛り込まれた。「電線地中化」は自民党の政権公約でもあるので関連銘柄に火がつき、沖電線<5815>は44円高で値上がり率3位、昭和電線HD<5805>は7円高で同10位、旭コンクリート工業<5268>は9円高、日本ヒューム<5262>は10円高。コンクリート製電柱が不要になっても、地中の基礎工事や共同溝の敷設などで新たな需要が生まれる。日本製紙<3863>は4~12月期の営業利益が12%増の200億円前後で従来予想に届かないという業績観測記事が出て23円安。同社はドル円レートが1円円安に振れると営業利益が8億円の減益になるという。