【日経平均】39日ぶりの2兆円割れと薄商い極まり45円安

2014年12月25日 20:24

 24日のNYダウはクリスマス・イブ恒例の午後1時までの短縮取引。閑散とした中、新規失業保険申請件数が市場予測を超える改善をみせたのを受け6.04ドル高で3日連続で史上最高値を更新。NASDAQも8.05ポイント上昇して「サンタクロース・ラリー」を締めくくった。25日は休場。それでも原油先物市場は反落しエクソンモービルは0.9%、シェブロンは0.4%、コノコは1.3%それぞれ下落した。ダウ30種で上昇が目立ったのはVISA、ボーイングの0.9%上昇、メルクの0.4%上昇などだった。25日朝方の為替レートはドル円120円台前半、ユーロ円146円台後半で、円高方向に少し振れていた。

 前夜に第三次安倍内閣が発足し、安倍首相は「強い経済を取り戻す」と強調。政策関連の話題は2015年度から「ふるさと納税」を拡充し、寄付額ほぼ全額の減税が受けられる上限金額を約2倍に拡大し、寄付先の自治体が5ヵ所までなら確定申告なしで自動的に減税されるしくみを取り入れるという話や、「エコカー減税」の減税率を現在の3段階から5段階に増やすという話が出ていた。与党が30日にまとめる税制改正大綱に盛り込む。

 短縮取引のCME先物清算値は17825円。取引時間前に発表された11月の企業向けサービス価格指数は+3.6%で17ヵ月連続プラス。クリスマスで海外投資家の売買が極端に細る日の日経平均は49.39円安の17804.84円で反落して始まる。TOPIXもマイナスでスタート。為替が少し円高に振れたのが効いていた。すぐに17800円を割り込み午前9時9分に17778円の安値をつける。それでもV字回復し数分後に17800円台を回復するあたり、底値はなかなか堅い。その後は17800円台そこそこの小動きで推移する。香港はクリスマス休場だが上海はプラスで始まり、それを受け10時33分に17832円の高値を取るが、押し下げられて10時台のうちに17800円割れを喫するなど売り圧力は小さくない。

 この日は年内最終受渡日、12月末決算銘柄の権利付き最終売買日で、2014年分のNISAの最終買付日。100万円の年間枠をまだ残す個人投資家の駆け込み買いが入るかと思われたが、それと逆方向の利益確定売りや、税金対策のための損益通算を狙った売りで区切りをつけたい勢力のほうが優勢だった。やはり17800円前後では株価水準が高すぎて個人は買いづらい。NISAが始まっても個人は今年も徹頭徹尾、押し目買い・逆張り戦略貫徹だった。11時台は17800円台にも定着できなくなり、前引けは17799円。ただマイナスなので後場は「日銀砲」が期待でき、市場参加者が少ないのでその威力は増すはず。

 正午発表の11月の建設機械出荷額は5.2%増で16ヵ月連続のプラス。後場は前引けの水準で始まるが、為替のドル円が前場からジリジリ円高に進んで午後1時を回ると下押しされ、1時17分に17774円まで下落する。1時台後半からゆっくり回復し、2時台には17800円に接近。11月の新設住宅着工戸数は14.3%減の7万8364戸で9ヵ月連続マイナスだった。2時33分には17773円まで下げて安値を更新し、「日銀砲」が本当に撃たれているのか疑問を抱かせる値動き。終盤も17800円にタッチしそうでタッチせず、モタモタする時間帯が続く。大引け直前にようやく17800円にタッチし、終値は45.48円安の17808.75円で6日ぶりに反落した。日中値幅はわずか59円。TOPIXは-4.76の1421.26で5日ぶりに反落した。売買高は16億株、売買代金は1兆3842億円で、10月28日以来39日ぶりにそれぞれ20億株、2兆円の大台を割り込んで、薄商いが極まった。債券市場も新発10年債利回りが0.310%と過去最低を更新し、ニュースになっていた。

 値上がり銘柄は512、値下がり銘柄は1214で全体の65%を占めた。上昇したのはわずか3業種、下落したのは30業種。プラスのセクターは食料品、サービス、化学工業。マイナスのセクターで下落幅が小さいのは建設、医薬品、銀行など。下落幅が大きいのは空運、電気・ガス、非鉄金属、鉄鋼、証券、金属製品などだった。

 日経平均採用225種は値上がり50銘柄、値下がり164銘柄。プラス寄与度1位は花王<4452>で+3円、2位は日本ハム<2282>で+2円。マイナス寄与度1~3位はソフトバンク<9984>、ファーストリテイリング<9983>、ファナック<6954>の順番で「日経平均寄与度御三家」が勢揃いし、合計で-21円、日経平均を押し下げていた。

 メガバンクはみずほ<8411>は0.2円高、三菱UFJ<8306>は5.5円安、シティバンク銀行が前日、個人部門を450億円で三井住友銀行に売却する方針を固めたと報じられた三井住友FG<8316>は、日経新聞朝刊のインタビュー記事で宮田孝一社長が収益拡大に合わせ増配や自社株買いなど株主配分を強化する考えを示し47円高。前日には東京の信用組合2社の合併が発表され、金融再編の流れは地銀から信金、信組にも及んでいる。野村HD<8604>は6.3円安だった。

 前日に発表された11月の国内乗用車生産実績速報値は13.1%減の69万5527台で5ヵ月連続のマイナス。マイナス幅は10月の7.1%減からさらに拡大して4月以後では初の2ケタ減で、苦戦が続く。輸出は6社が前年実績を下回り合計では12.7%減の33万7658台で、過去1年で最大の減少率。海外生産はアジアが不振に陥って4社が前年割れし、合計では1.1%減の145万8967台で10カ月ぶりのマイナスだった。8社合計の世界生産台数は5.3%減の215万4494台。11月の海外生産が6.7%減少したトヨタ<7203>は46円安。リコール問題の影響で11月の国内生産が35.9%減と最も悪かったホンダ<7267>は5.5円高。マツダ<7261>は14円安。11月は中国生産が16.3%減の日産<7201>は9.5円安。11月の国内生産がプラスだった富士重工<7270>は6.5円安。同じくスズキ<7269>は2円安だった。

 全世界2000万台以上のリコールに発展したタカタ<7312>はステファン・ストッカー前社長が退任し高田重久会長兼CEOが社長を兼務するトップ交代人事と役員報酬の一部返上を発表して25円高。4カ月間、50%を返上する高田社長に権限を集中して対応をスピードアップする。

 ソニー<6758>は11.5円安、パナソニック<6752>は2円安、シャープ<6753>は1円安、日立<6501>は5.4円安、東芝<6502>は2.2円安、NEC<6701>は1円安、富士通<6702>は2.8円安と、電機大手はおおむね小幅安にとどまっていた。

 ルネサスエレクトロニクス<6723>は本体、国内関連子会社の35歳以上の社員対象の1月末日付の早期退職優遇制度に1725人が応募と発表して18円高。1800人程度の募集人員に少し足りなかった。今期、約79億円を特別損失として計上する予定。人件費の圧縮効果は年間約148億円を見込んでいる。電子部品メーカーは好調で、村田製作所<6981>は80円高、TDK<6762>は70円高、アルプス電気<6770>は12円高。バックライトを生産するミネベア<6479>も43円高で年初来高値を更新した。

 キヤノン<7751>は売買代金4位で年初来高値を更新したが終値は2円安。12月決算なのでこの日が権利付き最終売買日。総配分性向(総還元性向)が130%を超える株主還元の超優等生だけに前場は投資家の人気を集めた。花王も12月決算で株主重視の度合いはキヤノンほどではないが87.5円高で年初来高値更新。しかし同じ12月決算でもブリヂストン<5108>は17.5円安だった。