【日経平均】薄商いの連休の谷間は最後プラス引け13円高

2014年12月22日 20:16

 前週末19日のNYダウは26ドル高で3日続伸。NASDAQ総合指数は16ポイント上昇した。売りが先行したが原油先物価格が前日比4.45%の急反発をみせプラスに転じた。しかし連日の3ケタ上昇の後だけに上値は抑えられ史上最高値更新は遠い。エネルギー関連はエクソンモービルが2.7%、シェブロンが3.6%、コノコが1.8%、ハリバートンが3.2%それぞれ上昇。ナイキは決算がふるわず午前中に大きく下落したが終値は2.3%下落にとどまった。ブラックベリーも決算が悪く0.8%下落。フェイスブックは投資判断の引き上げがあり1.9%上昇した。22日朝方の為替レートはドル円が119円台半ばで円安、ユーロ円が146円台前半で円高に振れていた。

 19日のCME先物清算値は17700円。現在35%台の法人実効税率を3年間で20%台に引き下げる話、住宅ローン減税を2019年6月末まで延長する話、企業の受取配当金への課税を強化する話が流れ、2015年度の当初予算案、税制改正、補正予算の経済対策をめぐる話題が小出しに出てくる時期。冬至、連休の谷間の日経平均は64.13円高の17685.53円で始まる。TOPIXもプラスで始まる。4日続伸だが上げ幅は前週末より小さく、17700円にタッチできない。午前9時台はおおむね17630~17670円の水準で小動きしたが、10時台になると10時1分にマイナスに落ち、10時5分には17600円も割り込む急落で10時22分に17596円の前場安値をつけた。市場参加者が少ないので日経平均採用銘柄の売り仕掛け、買い仕掛けの影響を受けやすい。それでもTOPIXはしばらくプラスを保ったが、その後、日経平均はおおむね17600~17620円の小幅安水準で推移しながらTOPIXはわずかなマイナスに落ちる。上海、香港をはじめアジア市場はNY市場の堅調を受けて全面高スタート。日経平均は11時前から少し水準を上げて前週末終値付近で小動きし、前引けは17621円でわずかなプラスだった。

 後場は17600円を割り込んで安く再開し、午後0時32分に17577円の安値をつける。TOPIXもマイナス。その後はおおむね17580~17620円の約40円幅で動き、TOPIXはプラスに浮上する時間帯もあるものの、日経平均はなかなかプラスに浮上できない。1時30分発表の11月の全国食品スーパー売上高(既存店ベース)は0.7%増で7ヵ月連続のプラス。2時発表の11月の全国スーパー売上高(既存店ベース)は0.7%減で8ヵ月連続マイナスだったが、10月の1.9%減よりもマイナス幅が縮まり食料品はプラス。2時台は2時1分にこの日の安値17572円をつけたところから回復しプラスにタッチする時間帯もあり、終盤はTOPIXは再びプラス。日経平均も20円以下の小幅安で最後はプラス、マイナスどちらに転んでもおかしくなかったが、結局大引けでプラスになって13.74円高の17635.14円で4日続伸した。最近の日経平均は終値のマイナス幅が50円以下の「惜敗」が10月はゼロ、11月は1回、12月はここまでゼロで、終盤の「粘り腰」は技能賞もの。日中値幅は120円。TOPIXは+3.44の1413.05で3日続伸した。売買高は21億株、売買代金は2兆592億円でかろうじて2兆円を超え、最近にしては薄商いの日になった。

 東証1部の値上がり銘柄は890で全体の47%を占めた。値下がり銘柄は826で全体の44%。33業種別騰落率は23業種が値上がりし、10業種が値下がり。プラスのセクターの上位は石油・石炭、鉱業、卸売、不動産、パルプ・紙、その他金融など。マイナスのセクターの下位は空運、ゴム製品、銀行、倉庫、小売、輸送用機器などだった。

 日経平均採用225種は値上がり121銘柄、値下がり86銘柄。プラス寄与度1位は昭和シェル石油<5002>で+11円、2位はソフトバンク<9984>で+6円。マイナス寄与度1位はファナック<6954>の-11円、2位はファーストリテイリング<9983>の-8円でともに終日、日経平均の上値を抑え続けた。

 メガバンクはみずほ<8411>は0.4円高、三菱UFJ<8306>は6.6円安、三井住友FG<8316>は3.5円高。野村HD<8604>は4.9円高。輸送用機器はマイナスのセクターに入っていた。自動車大手のトヨタ<7203>は27円安、ホンダ<7267>は0.5円高、富士重工<7270>は46.5円安、マツダ<7261>は5.5円安、日産<7201>は7.5円高。政府・与党は2015年度から軽自動車税に新たな「エコカー減税」を導入する方針と報じられたが、スズキ<7269>は29.5円安、ダイハツ工業<7262>は29.5円安、三菱自動車<7211>は9円安と反応薄。トヨタ系部品メーカーの大型M&A。アイシン精機<7259>は19日にシロキ工業<7243>を2016年4月1日付で株式交換で完全子会社化すると発表し25円安。3月29日に上場廃止になるシロキ工業は一時ストップ高の47円高で年初来高値を更新し値上がり率4位。アメリカの調査リコールで回収した部品の解析作業のペースを年明けから3倍にするというタカタ<7312>は2円安だった。

 ソニー<6758>の子会社が新作映画の公開を取りやめた問題で、オバマ大統領はその対応を「間違い」と批判。事前に連邦政府に相談してほしかったと述べた。ソニーは23.5円高。パナソニック<6752>は来春をメドに山梨県の生産子会社を他社に売却し回路基板事業から撤退と報じられ3.5円安。ヨーロッパの家電事業の構造改革で3月期決算で143億6800万円の特別損失を計上するシャープ<6753>は3円高、日立<6501>は2.5円高、東芝<6502>は5.3円高、NEC<6701>は1円高、富士通<6702>は0.6円安だった。富士電機<6504>は合計約50億円を投資し2015年にアメリカとインドでモーターの回転を制御するインバーターの生産を始めると報じられ1円高。村田製作所<6981>は、3月期決算の営業利益が1900億円前後と前期比約5割増で過去最高益を更新する業績観測記事が出て90円高。

 ミネベア<6479>は日本政策投資銀行とともにドイツの計測機器大手ザルトリウス・メカトロニクスT&H(SMTH)を買収すると報じられ前場で年初来高値を更新したが値動きなし。ミネベアが51%を取得してマジョリティを取り完全子会社化する。SMTHは異物検知の技術を持つ。ゴキブリも検知できるか? 消防車や消火器のモリタHD<6455>は200万株、25億円上限の自社株買いを発表し56円高。日立造船<7004>は日刊工業新聞に容量がリチウムイオン電池の5倍という「亜鉛空気二次電池」を開発した記事が載り売買高11位、一時ストップ高の73円高で値上がり率5位に入り3日続伸した。

 日本オラクル<4716>は19日に6~11月期決算を発表し、最終利益が23.5%増の147億円で市場予測の133億円より良かったのを好感され155円高で年初来高値を更新し3日続伸。東洋ビジネスエンジニアリング<4828>は、図研<6947>、野村総合研究所(NRI)<4307>と資本・業務提携を結んだが1円安。図研は30円高、NRIは25円高。図研とNRIはそれぞれ東洋BENG株の14%を保有し、得意分野の生産管理(東洋BENG)、CAD(図研)、SI(NRI)で協業する。東北電力<9506>は調査団が原子力規制委員会に青森県の東通原発について「地下の活断層の存在を否定できない」と報告すると伝えられて6円安だった。

 大和ハウス工業<1925>は2016年冬までにアメリカのダラスで22棟、582戸の賃貸住宅を建設すると報じられ9円高。総投資額は120億円程度の見通し。アメリカでの賃貸住宅事業の規模を2019年3月期に売上高500億円に乗せる計画。石塚硝子<5204>はこの日も売買高3位、売買代金10位に入りストップ高の80円高で値上がり率1位と買いが衰えない。折しもお歳暮シーズンだが、デパートの陶磁器売場で「ナルミのボーンチャイナ」は、そんなに大人気なのか?

 医薬品は、塩野義製薬<4507>は75円高、エーザイ<4523>は54円高、アステラス製薬<4503>は5円高、武田薬品<4502>は58円高だが第一三共<4568>は3円安。ロシュが実施した乳がん治療剤の有用性検証試験の結果が思わしくなかった中外製薬<4519>は140円安で値下がり率9位。花王<4452>は通期の営業利益が過去最高の1500億円という業績観測で38円高。