徴兵制、立憲主義の否定などは極端な誤解 総理

2014年12月28日 07:55

 安倍晋三総理は自身の公式サイトで「国民のみなさまへ」と題し、集団的自衛権の憲法解釈変更について「徴兵制、立憲主義の否定、平和主義の放棄、世界中の戦争に参加など、そのようなことは断じて、あり得ません」と表記し、『極端な誤解、曲解が散見される』としたうえで、「一問一答で理解頂けると思う」と発信している。

 安倍総理は「今後も丁寧な説明を尽くして参ります。国民の皆様においても、冷静に、建設的にご議論頂ければと思います」と呼びかけた。

 この中で、徴兵制についての一問一答をみると「徴兵制が採用され、若者が戦地へと送られるのではないか?」の問いに「全くの誤解です。例えば、憲法第18条で『何人も(中略)その意に反する苦役に服させられない』と定められているなど、徴兵制は憲法上認められません」とした。

 また「今回、集団的自衛権に関して憲法解釈の変更をしたのだから、徴兵制も同様に、憲法解釈を変更して導入する可能性があるのではないか?」との問いには「徴兵制は、平時であると有事であるとを問わず、憲法第13条(個人の尊重・幸福追求権等)、第18条(苦役からの自由等)などの規定の趣旨から見て許容されるものではなく、解釈変更の余地はありません」と断言した。

 「有事であっても許容されない」との解釈は「個人の尊重、苦役からの自由」が国家の存亡以上に、人間固有の権利として尊重されるとの解釈でなければ成り立たない論理だ。総理はそうした解釈をしていると解するべきか。

 国民の生命、自由、財産を守るべき独立国としての国家が存立してこそ、国民の生命、自由、財産は守られるのであって、侵略国家が侵略国の国民の生命、自由や財産を保障するとは考えにくい。世界の紛争地域の状況をみれば一目瞭然だろう。

 集団的自衛権行使容認が具体化し自衛官が激減すれば、現行の志願方式で必要な人材を確保、維持し続けられるのか。現行でさえ定員を割っている。「徴兵制になりかねない」(共産党・志位和夫委員長)との指摘はぬぐえない。

 閣僚の石破茂地方創生担当大臣も自民幹事長時代に「徴兵制が奴隷的苦役との議論には賛成しかねる」と明言している。安倍総理のいう「極端な誤解、曲解」で片づけられては国民の疑問解消にはならない。

 有事立法ではどうするのか、現行憲法の下では有事立法においても徴兵制の規定を盛り込むことはできないし、やらないということなのか、これら疑問に対する国会での議論が安保法制の中でも明確に示されることが求められている。(編集担当:森高龍二)