安倍晋三総理は憲法改正を「歴史的なチャレンジ」とし「それはそう簡単なことではない。先ず3分の2の多数を衆議院、参議院でそれぞれ構成していく必要がある。その努力を進めていく」と第3次安倍内閣組閣後の記者会見で表明。憲法改正への国会の内外での環境づくりを表明した。
安倍晋三総理は憲法改正を「歴史的なチャレンジ」とし「それはそう簡単なことではない。先ず3分の2の多数を衆議院、参議院でそれぞれ構成していく必要がある。その努力を進めていく」と第3次安倍内閣組閣後の記者会見で表明。憲法改正への国会の内外での環境づくりを表明した。
自主憲法制定は自民党結党以来の悲願ではある。国民が今回の衆院選挙で与党に3分の2超の議席を与え、支持したのは「アベノミクス解散」と総理自ら宣言し、経済再生政策の推進か、方向転換かを求めたものであったはずだが、郵政解散時の小泉内閣同様、マニフェストのすべてが支持されたかのように、憲法改正への環境づくり、安全保障政策での安保法制の見直し、原発再稼働促進への方向転換、果ては、弱い立場に置かれる労働者の立場を保護する労働法制の見直しまで、岩盤規制改革の対象にかかげ、世論が2分する課題もよそに、経済・資本至上主義のごとく「世界で企業が最も活動しやすい社会づくり」をめざしている。
本当に、これでよいのか、「選択するのは、われわれ国民、ひとり1人である」ことを国民の一人ひとりが自覚することが、2015年、戦後70年の歴史の中で最も求められているといえよう。
2014年の年頭所感で生活の党の小沢一郎代表は「自公の巨大与党出現で官僚主導型の中央集権政治を完全に復活させた」と語り、当時、特定秘密保護法の成立、今後の集団的自衛権の行使容認(今年7月に閣議決定)、憲法改正にむけた環境整備への動き(第3次安倍内閣後の総理会見で明言)などを取り上げ「わたしたちは決して『いつか来た道』を歩むことを許してはならない」と警鐘したことを思い出す。
小沢代表は「現政権の最大問題は経済政策。非正規雇用の増加が社会の格差を拡大させている。不安定な雇用と格差の拡大は必ずや国民経済を劣化させる」とも指摘していた。労働法制の見直しはよほど慎重な議論と労働者を守るための法的担保が重要だ。同一労働同一賃金は安倍総理が目指す労働の流動性を高めるうえで前提条件。「法定するべきこと」だ。
小沢代表が今月開かれた日本外国特派員協会での記者会見で「日本人はもっともっと自己主張し、自分の考えに基づいて行動することが大事。自立した個人個人にならないと日本に民主主義は定着しないと思う」と語った。民主主義の基本を提起した発言だろう。
自由を守るためには国民が自由を守る努力(行政を監視、管理する能力と努力)を有さねばならない。放置すれば、いつの間にか失うことになる。戦後の日本が築いてきた国家の目指す方向、そして統治権力の暴走を縛ってきた最高法規が「憲法」である。その憲法を改正する環境づくりを進めると総理が表明している以上、その憲法をどのように変えようとしているのか、自民党の憲法改正草案をじっくり、検証することが必要だろう。
全国各地で自民党の憲法草案についての賛成派、反対派、修正派が参加する討論会が行われることが望ましい。討論会での賛否の意見が、国民の知識を高め、憲法に対する自らの意見形成、憲法判断への一助になるだろう。
憲法はすべての法律の原点なので、投票権を有しない世代、未来の世代への責任を18歳以上のすべての国民が負わなければならない。その自覚を、われわれ有権者は持つことが重要だ。
安倍総理は自民総裁として、自主憲法制定派の次世代の党、現行憲法に条項を加える加憲派の公明党のほか、憲法にどこかの部分で改正の必要を認める民主党、維新の党、生活の党、新党改革を誘い、国会に提出する憲法草案作りを進めたいもようだ。また、参議院議席の3分の2を与党で確保するため、参院選挙への準備を本格化する。
現行憲法をどうするかは国民が最終判断をすることになるが、日本をどの方向に持っていくのかを選択することでもあり、戦後70年の節目となる2015年は歴史において「第3次安倍政権が憲法改正へ動き始めた年」になりそうだ。(編集担当:森高龍二)