安倍首相は12月19日、国家戦略特区諮問会議で、選挙公約の「地方創生特区」の指定を本格的に進めていく意向を示した。特区として選出された自治体には専門家を派遣し、地方の魅力を発掘して内外にアピールする。
安倍首相は12月19日、国家戦略特区諮問会議で、「地方創生特区」の指定を本格的に進めていく意向を示した。地方創生特区とは、自民党が衆院選で訴えていた公約のひとつで、地域活性化を目的に、規制改革を実行していくというもの。特区として選出された自治体には専門家を派遣し、地方の魅力を発掘して内外にアピールする。企業や観光の積極的誘致を図るほか、地域ブランドの後押しや雇用創出などの効果も見込んでいる。特区の指定は来春をめどに実施される予定だ。
同会議で安倍首相は「やる気のある地方自治体を支援し、地方創生を実現する」と述べ、国家戦略特区の第2弾として促進していくことを表明。今後は地方創生担当大臣である石破氏を中心に計画を進めていく。
また政府は地方創生のための費用として、2015年度の地方財政計画の中で1兆円規模の歳出を計上するとした。地方財政計画は自治体の年間の歳出と歳入を目安に組まれるが、来年度から歳出の項目に「地方創生」が新たに加わることになる。地方創生の歳出には産業振興の経済政策以外にも、人口流出を防ぐための策として子育て支援策の充実のための予算も組み込まれている。
目標としては、地方の若者30万人分の雇用創出や、非正規雇用労働者を減らし正規雇用労働者を増やすこと、また、生産から加工、販売まですべてを手掛ける6次産業を10兆円の市場に拡大することを掲げている。さらに地方産業の発展に伴い、都市に集中する人口の流れを変え、都市部から地方への移住者を増やして人口のバランスを均等に整えていくという。
公約だった地方創生に政府は大盤振る舞いの意気込みを見せているが、すでに名ばかりの計画に終わるのではないかという冷たい意見も飛び交っている。少子化を食い止めることもできず、アベノミクスの景気回復効果の実感も薄いままでは、どれもこれも現実性に乏しい内容に聞こえる。交付金や助成金のばら撒きに終わらないよう、お役所感覚を引き締め中身の詰まった事業計画を立てることが重要だろう。(編集担当:久保田雄城)