餃子の王将「焼き餃子」で中国撤退 次のターゲットはロサンゼルス

2014年12月30日 19:51

 「餃子の王将」を展開する王将フードサービス<9936>は12月中旬、米国進出を検討していることが明らかになった。2015年から本格的な市場調査に乗り出す。

 実は同社は10月31日付のプレスリリースで、中国子会社の解散を発表している。餃子の王将の中国での敗因は、明らかにマーケティングの失敗だ。

 餃子の王将の主力商品は日本独自の焼き餃子だ。しかし中国では餃子と言えば水餃子が一般的だ。中国では水餃子が東北地方から華北地方、内モンゴル自治区まで広く食されており、日本の焼き餃子は満州からの引き揚げ者が広めた「和風」中華料理だ。

 中国の餃子(水餃子)は家庭で手作りされる家々の味で、外食でもメジャーではない。ちなみに中国餃子の餡にはニンニクも入ってはいない。中国にも日本の焼き餃子に似た「鍋貼(グオティエ)」というものがあるが、これは水餃子の残り具材で作るもので、とても外食で客に出す食べ物ではない。
 
 加えて、日本食ブームに沸く中国でさえ失敗した理由に、「餃子とご飯」という組み合わせがあるという。餃子の皮(中国の水餃子の皮は日本の焼き餃子の皮よりも何倍も分厚く、その中に餡が入る)は炭水化物、餡はタンパク質ということで、水餃子だけで主食になってしまうのだ。これにご飯をともに食べると炭水化物の二重摂りになってしまう。ネット上では「中国人が日本人が餃子をおかずにご飯を食べているのを見るのは、関西人がお好み焼きをおかずにご飯を食べているのを見るようなもの」という発言があった。言い得て妙である。

 餃子の王将の中国での失敗は「経営的には軽微なもの(プレスリリース)」らしいが、この失敗を教訓として成功してほしいものだ。第1店はアジアロサンゼルスを予定しているというが、餃子文化が根付いた中国よりハードルは低いかもしれない。メニューは餃子の王将の顔である餃子、ラーメンのほか、コンビーフ、チーズなど地元の人が食べ慣れた素材のメニューも開発していくという。(編集担当:久保田雄城)