家計を直撃する値上げ スタグフレーションの危機

2014年10月10日 08:27

画像:家計を直撃する値上げスタグフレーションの危機到来☆

原材料費の高騰を理由などに、10月から企業の値上げが相次いで行われている。王将フードサービスが展開する「餃子の王将」は、23年ぶりにメニュー全体の値上げを実施。スターバックスコーヒージャパン同社人気商品の「ラテ」など、12の飲料を10円程度値上げする。

 原材料費の高騰を理由などに、10月から企業の値上げが相次いで行われている。消費増税と物価上昇が家計を襲うことになりそうだ。

 王将フードサービスが展開する「餃子の王将」は、23年ぶりにメニュー全体の値上げを実施。人件費と原材料の高騰が理由であるが、ギョーザやチャーハンなどのメニューが5~86円引き上げられる。また、スターバックスコーヒージャパンも原料の牛乳の価格が上昇したため、同社人気商品の「ラテ」など、12の飲料を10円程度値上げすると発表した。

 飲食店以外にも値上げは広がっている。会社員が加入する厚生年金の保険料率は、現在の17.120%から17.474%に変更。月収30万円の会社員の場合、天引き額が531円増えることになる。また経営危機問題を抱えるスカイマークは10月26日から複数路線で運賃を上げ、三井住友海上火災保険とあいおいニッセイ同和損害保険は自動車保険の保険料を引き上げると発表した。

 さらに2015年1月1日から値上げを実施す予定の企業も増えている。日清食品は円安による原材料の高騰を理由に、チキンラーメンやカップヌードルなどの250品目を5~8%値上げすることを発表。同社によると「チキンラーメン」は現在の100円から105円に、カップヌードルは170円から180円に、それぞれ変更されるという。

 また明星食品は、世界的な需要拡大や円安進行で原材料が高騰しているため、主力商品の「一平ちゃん」などを含む約100品目を対象に値上げを実施する。値上げ幅は、3%から8%台となる予定だ。

 現在、急激な円安が進行する日本経済。その影響から、原材料価格が上昇した。その結果、原材料価格の上昇分を吸収しきれなくなった企業が、商品価格に転嫁するかたちでの値上げが続出している。しかし各経済指標が悪化し、景気回復の実感が伴わない中での値上げ。そこには日本経済が経済活動の停滞と物価の持続的な上昇が共存する状態、つまり「スタグフレーション」に陥る危機がはらんでいる。

 14年4月に消費税が増税され、この秋には家計に直接打撃を及ぼす値上げも実施された。企業は値上げ分を消費者の財布に転嫁したが、消費者には消費を控えるなどの自己防衛しか手段はない。実質賃金が上がらないのにモノの値段は上がっていく。不況下のインフレはさらなる経済危機の火種となるだろう。アベノミクスによる景気回復などの絵空事はもう通用しない。(編集担当:久保田雄城)