ピーク迎えたスマホゲーム市場 来年のゲーム業界は中国市場がカギか

2015年01月03日 17:34

画・【2014年振り返り】ピーク迎えたスマホゲーム市場 来年のゲーム業界は中国市場がカギか

スマホゲームの台頭と家庭用ゲームの苦戦。今年のゲーム業界は、その傾向がさらに加速した年だった。中でも大ヒットしたスマホゲームは、ミクシィの『モンスターストライク』(※画像アイコン)だ。昨年10月のサービススタートから1年で全世界1500万ダウンロードを記録した。

 スマートフォン向けアプリゲーム(スマホゲーム)の台頭と家庭用ゲームの苦戦。2014年のゲーム業界は、前年から続くその傾向がさらに加速した年だった。年末商戦を迎えた12月も家庭用ゲーム市場の苦戦は続いているが、一方でスマホゲーム市場も今年の秋ごろをピークに飽和状態に入り、様相は混沌としてきた。今年のゲーム市場を振り返るとともに、来年以降の展望をみていきたい。

 スマホゲームでは、ガンホー・オンラインエンタテイメント〈3765〉の『パズル&ドラゴンズ』(通称:パズドラ)とミクシィ〈2121〉の『モンスターストライク』(通称:モンスト)の大ヒットが最大のトピックだろう。特に去年までパズドラの一人勝ち状態だった市場で、肩を並べるところまで急成長したモンストの躍進は大きい。モンストは昨年10月にサービススタート。そこから1年で全世界1500万ダウンロードを記録し、ミクシィの14年4~9月期連結営業利益は140億円となった。15年3月期のまでの年間営業利益予想は450億円になるとの見通しもある。間違いなく、今年最もヒットしたゲームと言えるだろう。

 対するパズドラのガンホーは、今年1~9月期決算で750億円の営業利益を記録。これは同社の最高記録更新となった。11月に全世界3200万ダウンロードを突破し、モンストに迫られているとは言えスマホゲームの横綱であることに変わりはない。しかし、国内のスマホユーザーは6000万人と言われ、海外ダウンロード分を差し引いても、利用者数のピークに達してしまった感があり、右肩上がりだったダウンロード数は横ばいになりつつある。事実、14年7~9月期だけをとってみると営業利益は前年より減益している。新規のユーザー獲得が難しくなり、今後は今遊んでいるユーザーにいかに飽きられないようにするかがポイントだろう。
 
 家庭用ゲーム市場をみてみよう。ゲーム業界最大手である任天堂〈7974〉は、ここ4年間続く赤字からなかなか抜け出せないでいる。12年に発売した据え置き型ゲーム機『Wii U』が伸び悩み、それに続く新機軸のハードや企画も打ち出せていない。ヒットシリーズ『大乱闘スマッシュブラザーズ』のWii U版ソフトを12月6日に発売し、今年の年末商戦の目玉としているが、それだけでは巻き返しは難しそうだ。

 据え置き型ゲーム機で好調なのが、ソニー〈6758〉の『プレイステーション4(PS4)』だ。昨年11月に発売され、今年の8月には史上最速で世界1000万台販売を記録した。上海自由貿易試験区の規制緩和を受け、来年1月からは中国市場でもPS4の販売を開始する。

 来年以降の展望だが、まずスマホゲームが新たな局面に入ることが考えられる。スマホゲームはこの1年で一気に増え、戦国時代となった。しかし、パズドラがそうであるように、右肩上がりから横ばいになっていくタイトルも多くなり、生き残りは激化していくだろう。

 そして、スマホゲーム・家庭用ゲーム両方の市場で重要になってくるのが、中国を中心とした海外展開だ。ソニーの中国参入発表に続き、任天堂も中国参入に意欲を示している。ガンホーとミクシィは、どちらもすでに中国インターネット会社・騰訊控股(テンセント)と提携して、パズドラ、モンストとも中国国内での配信開始を発表している。ゲーム人口3億人とも言われる中国巨大市場は、来年のゲーム業界にとって大きな戦場になるだろう。(編集担当:久保田雄城)