2014年は、LCC(ローコストキャリア)の利用が一段と増加した年だった。国内線を中心に、アジアへの国際線でもかなり低価格の便が多く、ビジネスや観光で利用された方も多いだろう。利用が増加した分、競争も激化している。15年はLCC各社にとってサバイバルの年になりそうだ。
2014年は、LCC(ローコストキャリア)の利用が一段と増加した年だった。国内線を中心に、アジアへの国際線でも低価格の便が多く、ビジネスや観光で利用された方も多いだろう。利用が増加した分、競争も激化している。15年はLCC各社にとってサバイバルの年になりそうだ。
国内LCCで現在トップを走るのはPeach Aviation(ピーチアビエーション)。関西国際空港を拠点としたことが功を奏し、韓国や香港などへの国際線が好調に推移している。この年末年始の国際線提供座席数は、昨年から15%増えて6万1200席になった。予約数は4万9千人を超え、こちらも昨年から13%増。予約率も2年連続で80%を超えている。国内線も提供座席数16万席、予約数11万席と国内LCCダントツだ。
LCCは価格が安い分、利益を出すには平均搭乗率80%以上が必要だと言われている。ピーチはほぼ1年間80%以上を維持し、14年3月期決算は10億円の最終黒字となった。前述した関空拠点の国際線の利便性の高さがその業績につながっている。関空からはソウル、釜山、香港、台北、高雄といった豊富な国際線を敷き、さらに那覇―台北便も用意した。那覇空港からの国際便も今後さらに増えていくだろう。ピーチの業界トップは15年も揺るぎそうにない。
ピーチを追いかけるのがバニラ・エアだ。バニラ・エアは年末年始の国内線提供座席数が3万9600席で、これは昨年比で実に214%増となった。予約席数も3万人で昨年比201%増。年末年始の国内線予約率だけなら、66%のピーチに対し78%と上回った。母数の席数自体に差はあるものの、堅実に2番手につけている。
バニラ・エアは14年11月に3本目となる国際線、成田―香港便を開設した。こちらは15年2月より1日2往復に増便される予定だ。その一方で15年3月から、成田―仁川便の運休を発表。運休後は、成田―新千歳や成田―那覇の増便に機材などを充てるとしている。国際線は慎重に見極め、その分国内線の充実を目指す姿勢がうかがえる。
2社に比べ、15年が正念場となりそうなのがジェットスター・ジャパンだろう。14年12月に国内LCC社最速の搭乗者数700万人を突破したが、営業利益は3年続く赤字状況から抜け出せていない。14年6月期には最終赤字が111億円になり、11月に大株主のJAL(日本航空)〈9201〉と豪カンタスグループから最大110億円の追加出資がされることとなった。
巻き返しの策として、14年6月から関空を第2拠点とし、15年2月から初の国際線となる関空―香港線を就航することを発表した。しかし、これはピーチと真正面から戦うことになる。対抗するために、香港線では燃油特別付加運賃(サーチャージ)を含めた片道運賃をピーチより安く設定した。まずは、ここでどれだけ結果を出せるかが鍵となるだろう。
そして、15年のLCC勢力図を変える可能性があるのが、エアアジアの日本参入の動きだ。エアアジアは、マレーシアを本拠地とするアジア最大手のLCC航空会社だ。かつてANA(全日本空輸)〈9202〉と提携しエアアジア・ジャパンを運航していたが、13年に提携解消し日本市場から撤退した。エアアジアの15年中の日本市場再参入が実現すれば、国際線を中心にLCCの生き残りをかけた争いはより苛烈なものになるのは間違いない。
最後に一点。利用者が増えた一方、14年はパイロット不足による欠航など、確実性・安全性を不安視する声も聞かれた。LCC各社は価格競争に陥るあまり、整備や人材、機材などの安全面を怠ることがないようにだけはお願いしたい。最終的には、安全で確実なサービスを提供できる会社が生き残るのだから。(編集担当:久保田雄城)