不動産経済研究所が1月21日に発表した2014年の「首都圏マンション市場動向」によると、新規マンションの販売戸数は4万4,913戸で、前年比20.5%マイナスとなり、大幅に減った。減少に転じるのは3年ぶりのことだ。過去のデータをみると、10年では4万4,535戸で前年比22.4%増、11年は4万4,499戸で前年比0.1%減と減少したが小幅にとどまっている。12年には4万5602戸で前年比2.5%、13年には5万6,478戸で前年比23.8%増だった。
14年に実施された8%の消費税増税による反動で、マンション販売数が伸び悩んだとものと思われる。さらにそこに加わったのが、建築材料の値上がりと、人手不足による人件費の高騰だ。マンションの価格が値上がりし、顧客が購入の時期をためらうと見込んだ業者が、マンションの発売を控える傾向がみられた。
マンション一戸あたりの平均価格は前年比2.7%増の5,060万円で、これは1992年以来の水準になる。都市別にみると、東京都区部が最も高く5,994万円、都下で4,726万円、神奈川県で4,384万円、埼玉県で3,930万円、千葉県で3,879万円となった。販売数では埼玉県が最も大きく減り32.4%減、次に東京都区部で26.7%減、神奈川県で14.3%減、千葉県で3.0%減、都下で0.2%減だった。
それに連動してか、首都圏では中古マンションの方でも平均価格が前年度を上回るという現象が起きた。不動産専門の情報サービス会社、東京カンテイの調査によると、中古マンションの平均価格は、首都圏で2,851万円。前年比より2.1%上昇した。東京都区部では前年比より5.2%上がり、4,203万円だった。新築マンションの供給量が抑えられたことで、中古マンションの需要が伸びたようだ。投資物件として購入する外国人や、相続税対策で購入する地方富裕層の姿もみられ、中古物件は今後も堅調な動きを見せそうだ。
12月には前年比0.%2増とやや上向きの動きがみられた新規マンション市場だが、価格高騰という不安材料はまだぬぐい切れていない。今年も供給量と価格の調整に慎重さが必要とされている。(編集担当:久保田雄城)