“新エコカー減税”でレクサスLS600hは19万円の負担増。駆け込み需要が起きるクルマはこれだ!

2015年02月14日 19:11

LEXUS_LS600h

平成27年度税制改正大綱に“新エコカー減税制度”が盛り込まれ、新たに「平成32年燃費基準」が決定した。結果、エコカー減税対象車から陥落するクルマが続出する

 自動車のかかる税金は、自動車購入に際して必要な“自動車取得税”、購入時と車検取得時に支払う“自動車重量税”。さらに自動車を所有・運用するために“自動車税”が必要だ。それらを軽減し自動車需要を喚起してきたのが“エコカー減税”処置だ。

 その自動車の燃費基準が2015年度から大きく変わる。これまでの平成27年度基準が平成32年度基準に改められ、自動車取得税、同重量税の減税対象車が大幅に減る見込みだ。加えて4月から軽自動車税が増税。逆に“軽自動車エコカー減税”という複雑な税制が施行される。ニッポンのこの春からの自動車関連税制改正が、駆け込み需要を起こすのか。

 2015年1月14日に閣議で決まった平成27年度税制改正大綱に“新エコカー減税制度”が盛り込まれ、前述の自動車取得税と同重量税の軽減処置が決まった。同時に、軽自動車税の軽減特例も施行される。

 新しい平成32年燃費基準で影響を受ける例として以前に、車重1トンのクルマの場合について説明した。「平成32年度燃費基準値23.4km/リッター以上」なら基準値達成車で、自動車取得税60%軽減となる。同様に基準値達成車は重量税も50%軽減となる。この場合の平成32年度燃費基準値は、現行27年度基準値の+20%達成車と同等の燃費で、今年3月末までの登録ならば、重量税+取得税が完全免税車となるが、新税制では前述のとおり60%/50%の軽減処置となってしまう。

 エコカー減税の基盤となる燃費基準が非常に厳しい平成32年燃費基準に替わる。その影響で、現状ならエコカー減税に適合するクルマ(約200モデル)が、4月以降に“非適合”に陥落する国産モデルは約50台弱と見られる。

 非適合車となるモデルを概観すると、発売されてから時間が経っているモデルで販売台数が少ない大排気量車や、メーカーがあまり手を加えていない少量販売車でアイドリングストップなどが装備されないクルマが多い。

 税負担が大きく増えるクルマの例を挙げると、以前紹介したモデルチェンジしたばかりのトヨタ製高級ミニバン、アルファード&ヴェルファイアの3.5リッターモデル、およそ8万円の負担増となる。日産エルグランド3.5リッター車もまた同様だ。スカイライン2リッターターボ車も7万円以上の税負担となる。スバルWRX-S4も7万円弱の増加、レヴォーグ2.0やレガシィB4も同様だ。三菱のデリカD-5ガソリン車、アウトランダー24G系も6万円弱の負担増となる。

 税負担が増えるのは、こうした大排気量車だけではない。現在、1.3リッターガソリン車でエコカー減税の恩恵で“免税”となっている日産ノート、ホンダ・フィット、マツダ・デミオは、4月以降エコカー減税を適用しても「取得税60%、重量税50%」の負担となる。コンパクトカーにとっても厳しい燃費基準が、ジワジワ効いてくる新基準だ。

 これまでなら“ハイブリッド車”なら“黙って免税”だったが、新制度では普通のクルマと同じ俎上に載る。そこで“免税”から陥落するのが、日産セレナSハイブリッド。現状でセレナSハイブリッド車は車重1660kg未満のモデルはすべて100%免税(取得税+重量税)だが、税制改正後は1651kg以上に区分され基準燃費15.4km/リッターを超える単なる基準車となる。そのため取得税40%、重量税25%軽減と大打撃を受ける。ホンダCR-Zも同様だ。そして、レクサスの超高級ハイブリッド車のLS600hも重い車重が影響して“免税車”から降格し、19万円強の負担増となってしまう。

 ただ、制度が変わっても“エコカー減税”制度は、自動車販売の現場では大きな武器だ。今後、国産メーカー各社は、必死で“エコカー減税対象車”の開発・投入を図ってくるに違いない(編集担当:吉田恒)