2015年は“食品値上げの年”だ。1月には日清食品が「カップヌードル」など約250品目を値上げ。同月、日本水産や日清冷凍食品も、冷凍食品の価格を3~15%程度値上げした。2月からはハウス食品グループがカレールウを値上げし、3月には日清フーズが、お好み焼き粉やパスタソースなどを値上げする予定だ。円安に加え、新興国の需要増や、包装資材の価格高騰などが要因といわれる。国内の物流業界でも人手不足が続く。輸送コストが上昇し、メーカーによるコスト削減努力は限界を超えている。
個々の食品では十数円の値上がりでも、ちりも積もれば家計には痛手だ。主に女性向け通販カタログを扱うニッセン(本社・京都市)が、自社の運営する懸賞サイトの会員835人にアンケートを取ったところ、多くが節約のために「食費」を削り、7割が「外食をしなくなった」と答えた。
「あなたは現在節約をしていますか」の質問に対し、85%の人が「はい」と回答。節約している項目は「食費」が最も多く63.3%だった。節約する人が多そうな「娯楽費」は48.8%と、半数以下にとどまっている。回答者からは、「節約して貯めたお金で旅行する。すると、また節約も頑張れる(30代女性)」との声も聞かれ、日常の食費を削って「非日常」の消費を楽しむ様子が伺える。
「食費」を節約している人を対象に、「どのように節約しているか」聞いたところ、トップは「外食をしなくなった」で 68.4%、次いで「より安い食材を買うようになった」が63.9%だった。回答者からは、「以前より外食の回数を減らしました。その分『楽しみ』が倍増した気がします(50代女性)」という声もあった。
日本フードサービス協会によると、14年の外食売上高は前年比マイナス0.2%。高価格・高付加価値のメニューを充実させ、客単価が上昇した「ファミリーレストラン」や「ディナーレストラン」などは前年を上回ったが、「ファーストフード」と「パブレストラン・居酒屋」が苦戦した。消費者の節約志向と、その分の「非日常消費」をうまく取り込めるかどうかが、外食産業のカギを握りそうだ。(編集担当:北条かや)