かつてサッカー日本代表中田英寿氏が在籍していたことのある、サッカーファンなら一度は耳にしたことのあるイタリアセリエAのサッカークラブパルマFCがとてつもない財政難に苦しんでいる。
今季(ヨーロッパのシーズンは9~5月)だけでもオーナーが3回代わっている。いずれも負債、売却、買収のサイクルが刻まれている。昨季はイタリア・リーグで6位になりヨーロッパリーグの出場資格を得ていたのだが、所得税滞納を理由にその資格をはく奪されていた。今季のチーム状況はボロボロで圧倒的な最下位と低迷している。さらにひどいことにホームゲームでは運営費がかかるため試合を開催することができない。アウェイゲームだと遠征することができないといった始末である。
銀行口座には4万ユーロ(日本円でおよそ540万円程度)しか残っておらず選手に給料が支払えないという状況下だ。イタリア人のサッカー愛というものは日本人のそれとはかけ離れているため会長に対して不満をあらわにしているサポーターがデモを行っている。さらには元銀行員であるというパルマ市長が、マネンティ現会長を市庁舎へ呼び寄せ会談を行った。内容は会社更生手続きの打診及び、会長がパルマFCを手放さない限りホームグラウンドであるタルディーニでの試合開催を認めないとのことだった。
疑問なのはそもそもなぜそこまでの負債に陥ったかということである。破格な高給取りの選手がいるわけでもない。選手がサラリーに見合った結果を出していないというわけでもない。膨れ上がった負債額に対しての説明ができないのである。一見華やかでメディア露出が高いエンターテイメントの最高峰であるサッカー。その裏で何かが起きていることは明白であり、この件が一般企業に対して示唆していることは思いの他多い。
スポンサー収入、観戦およびグッズの収益、放映収入からクラブスタッフのサラリーや運営費を引いていく。そこに存在しえない多額の負債が発生するのは何なのか。究明が急がれるだろう。(編集担当:久保田雄城)