ヤマハ発、円安で輸入船高騰のなか、国産ボート市場が活況

2015年03月13日 21:28

Yamaha FR20

2014「日本ボート・オブ・ザ・イヤー」国産小型艇部門賞を受賞したヤマハ「FR-20」は、ファミリー向けの入門艇として開発。そのコンセプトと容易な操縦性が評価された。全長×全幅6030×2270mm、重量1066kg、定員6名、メーカー希望小売価格391万8350円(税別)

 ヤマハ発動機は、3月5日にパシフィコ横浜をメイン会場に開幕した「ジャパンインターナショナルボートショー2015」で、もっとも広いブースに出展し、唯一正式なプレス発表を行った。

 同社の木村隆昭代表取締役副社長はヤマハブースで会見し、まず「1960年代にFRP船体と船外機の販売でスタートした当社のマリン事業は、リーマンショックで大きな影響を受けたが、その後、中大型船外機が北米市場で拡大して、2014年マリン事業は前年比13.6%増の2764億円、営業利益は同44.1%増の458億円となり、高収益ビジネスモデルとして位置付けられるまで伸長した」と述べた。

 その上で2015年の取り組みとして「パッケージング戦略を主な取り組みとして進める」との方針を明らかにした。「ヤマハには総合マリンメーカーとしての事業力、信頼、そしてネットワークからなる高いブランド力がある。そのブランド力を基盤としてパッケージ戦略を推進する」とも語った。

 同氏が具体的な方針のなかで強調したのは、「会場に展示した “242リミテッドS”などのジェット推進エンジン搭載のスポーツボートおよび、新開発高馬力船外機を中心とした推進機ビジネスの拡大。同時に、同社独自の操船制御技術“ヘルムマスター”による簡便な操船支援技術と、艇体ビジネスとを従来以上に融合し、ファミリーファンカテゴリーで最大市場である米国を中心に展開していく。これによりモデルラインアップが拡充し、パーソナルユースからファミリーユースまで幅広いユーザー層を広げていく」とした。

 また、ソフトビジネスの分野でも拡大戦略を推し進め、10年目に入ったレンタルボート会員システム「シースタイル」の全国約140拠点に加えて海外拠点として昨年開設したハワイに次いで、今年はタイのパタヤを加えるという。同氏は、「シースタイルの会員を東京オリンピック開催の2020年に3万5000名を目指す」と語った。同時に「ヤマハボート免許教室」についても拡販活動を強化する。

 これら取り組みにより今後マリン事業で、「売上高3000億円、営業利益率20%水準を目指す」とした。

 具体的な展示製品を概観すると、従来のラインアップにはなかった新たな馬力レンジの4ストローク船外機「F130A」をボートショーで発表。F130Aは同社の船外機ラインアップのうちの115馬力と150馬力モデルの間を埋める130馬力モデルの新商品としてF115Bをベースに開発し投入。価格は142万4000~144万6000円で、4月1日から販売を開始する。

 このボートショーでは毎年、前年に国内で発表・発売された製品のなかから「日本ボート・オブ・ザ・イヤー」を選定している。今回、ヤマハ製艇は国産小型艇部門と国産大型艇部門の2部門で部門賞を獲得した。会場には初心者・ファミリー向けの入門艇として開発したリーズナブルな小型艇部門賞獲得の「FR-20」が展示され入場者の注目を集めた。第二会場の横浜ベイサイド・アリーナには、大型艇部門賞を獲得した「EXULT 38」(イグザルト38)などの大型艇が係留展示された。

 国産プレジャーボート市場は、景気の回復基調に加え、競合する輸入船の価格が円安進行で上昇していることも追い風となり、中小企業のオーナー経営者など富裕層が購入している。既にプレジャーボートを所有している顧客の買い替え需要が旺盛だという。今後は新規顧客の開拓も課題となろう。(編集担当:吉田恒)