ロレンソ、ル・マンを制し再びポイントリーダー ロッシ1年振り表彰台

2012年05月21日 07:24

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フランスGPで完璧な勝利を飾ったホルヘ・ロレンソ(ヤマハ)の見事な走り。

 今シーズン限りで引退を表明したストーナーの衝撃ニュースから始まった第4戦フランスGP。「ル・マン ブガティ・サーキット」の天候は雨。気温13度、路面温度は19度とウェットコンディションのレースは、始まる前からドラマティックな展開を期待する観衆で埋め尽くされた。Moto3では18台、Moto2では13台が転倒するという最悪のコンディションの中、テクニックを強要される難しいレースはスタートした。

 今シーズン、初めてセカンドローからスタートすることになったロレンソは、ポールポジションのペドロサ、同じく予選2位のストーナーを一気にまとめて抜く見事なオープニングラップでの走りを見せ、トップに立つ。波に乗るモンスター・ヤマハ・テック3のアンドレア・ドビツィオーゾと今季予選ベストの4番手スタート、バレンティーノ・ロッシ(ドゥカティ)もウェットコンディションを苦にしない攻めの走りを序盤から見せる。

 中盤は激しい2位から5位争いを演じるストーナー、ロッシ、ドビツィオーゾ、カル・クラッチロー(モンスター・ヤマハ・テック3)の4人のライダーを尻目にロレンソは独走状態に入った。一方、ペドロサはペースが上がらず、じりじりと順位を落としてしまう。

 この中盤の混戦から抜け出したのはストーナー。しかし、この時最後に訪れるドラマをストーナー自身は全く想像していない。そして、3位争いはロッシ、クラッチロー、ドビツィオーゾが抜きつ抜かれつの展開を見せ、初めて3強の一角に食い込むのは誰か楽しみな状況を保ちつつ、レースは終盤を迎える。

 この表彰台争いから最初に脱落したのはクッラチロー。残り10周となった所で、惜しくも転倒してしまった。そしてここから、怒涛の走りを見せたのはロッシ。ドビツィオーゾとの直接対決を制したロッシはその勢いを保ったまま、2位のストーナーに激しく迫っていく。残り5周までに1秒を切る所まで追い詰め、観客のボルテージは一気に頂点へ。

 残り3周からは、抜群の安定感を見せるロレンソの優勝を確信した観客の目は、チャンピオンに挑む、元チャンピオンの激しい2位争いに釘付けとなった。ロッシが抜けば、ストーナーが抜き返し、決着はいよいよ最終ラップへ。そして、ドラマのクライマックス、2位でコントロールタワーの前を通過したのは46番、ロッシのマシンだった。

 理想通りのレースをフィニッシュさせたロレンソは、ポイントリーダーに返り咲き、ワールドチャンピオン争いも、今後ますます激しさを増しそうな予感が漂うフランスGPだった。

 次戦、ロレンソの母国、スペインGPはカタルーニャ・サーキットで6月3日に決勝が行われる。(編集担当:加藤隆文)