与党だけで安保政策大転換議論「非常に心外」

2015年03月15日 19:38

 自民党の溝手顕正参議院議員会長は15日のNHK番組で、与党で協議中の安保法制について今月20日に中間的とりまとめとの話があったが、と司会者に聞かれ「党挙げてやっている。与党間で合意が得られるものと思っている」と語った。

 一方、安保法制の中身に慎重な姿勢の公明党・魚住裕一郎参議院会長は「昨年7月1日の閣議決定にそった形で法文化していかないといけないので、その中間報告のまとめということで、しっかり議論をしていきたい。海外に自衛隊を派遣する場合に3原則があるが、国際法上の正当性、国民の理解と民主的な統制、自衛隊員の安全確保などをもち出し、3原則にのっとった形で取りまとめたい」と強調した。

 民主党の羽田雄一郎参議院幹事長は「集団的自衛権の行使容認が閣議決定だけで行われたのは立憲主義から言っても、まず、おかしい」と安保法制見直しの根拠になっている昨年7月の閣議決定そのものを問題視した。「撤回すべき」と改めて閣議決定の撤回を求めた。また、国会で議論の場を設けるよう求めた。合わせて「憲法改正なく、どんどん緩和していくのはおかしい」とも語った。

 維新の党の片山虎之助参議院議員会長は「憲法に絡む問題だ。憲法審査会でも、特別委員会でも、徹底的に審議すべきだ。これだけの安保政策の大転換を与党だけでやるのは非常に心外だ」と強く政府・与党のやり方を強く非難した。

 片山氏は「与党だけで法案をつくり閣議決定し、国会にでてくるわけで、これはいわば完成品。それでイエスかノーかを言えと言われても、(与党の議員の)数が多いから通るのは決まっている」として、与野党含め徹底議論できる場をきちんと設けるべきだとした。

 片山氏は「やりたけければ憲法改正を行ってすべき」とし「憲法解釈を変えて行うわけだから当然限度がある。解釈変更の範囲なら、抑制的・限定的でなければおかしい」と問題提起した。

 日本共産党の市田忠義参議院議員団長は「戦闘地域に行かない、武力行使しないとしてきたのに、それを取り払って、戦地に行く、周辺事態と言う概念もなくす。米国の先制攻撃であっても集団的自衛権を行使するという。一言で言うと、いつでもどこでもどんな戦争にも自衛隊が海外に出て軍事支援するとなる。憲法9条を根本から否定する戦争立法だ」と強く批判した。

 次世代の党の松沢成文参議院幹事長は「安全保障基本法を制定し、その下で、他の法律を整備すべき。また領域警備法を設けるべき」などとした。

 社会民主党の福島みずほ参議院議員会長は「戦争法案だ」と指摘した。福島氏は「安倍総理は集団的自衛権行使3要件の中の『日本の存立を脅かす』の中に『重要な経済的な理由も入る』と言った。ホルムズ海峡の機雷除去など、時の政府の胸三寸で何でもフリーハンドでできる問題がある」と危機感を示し、「後方支援についても一体化することは違憲だと名古屋高裁も言っているのに、それを恒久法としてだすということは戦争をしない国から、殺し殺される国に変わる。そんな法案は出さないでほしい」と問題視した。(編集担当:森高龍二)