またしてもドラマ。レースは最後まで何が起こるか分からない。
3週連続で行われるMotoGP中盤のヨーロッパラウンドの第2週目は全長3671mというドイツ、ザクセンリンク・サーキットで行われた。8戦目を迎えた今回、アップダウンが激しく、コース幅も10mと狭い非常にテクニカルなサーキットの気温は26度、路面温度37度とドライコンディション。ブレーキングのテクニックも要する30周の長丁場レースはドラマチックな展開を予想させる雰囲気が漂っていた。
ポールポジションを奪ったのは、先週優勝した勢いをそのまま今レースにも持ち込みたいケーシー・ストーナー(ホンダ)。2番手に付けたのは今季ベスト・リザルトタイのベン・スピース(ヤマハ)。先週、失意のリタイアだったホルヘ・ロレンソ(ヤマハ)はセカンドロー、5番手から巻き返しを図る。
注目のスタートはまたしてもこの男が魅せる。今季幾度となくホールショットを奪ったダニ・ペドロサ(ホンダ)がロケットスタートでこのレースも第1コーナーを制した。しかし、そのスタート・ダッシュは同僚の手によって阻まれ、長くは持たなかった。2周目にはストーナーがトップに躍り出る展開となった。抜かれはしたものの、ペドロサはピッタリとストーナーに付いており、その2台のペースに3位のスピース以下のマシンは徐々に差を広げられた。スピードの上がらないチームメイトに対し、ロレンソは4周目、3位にポジションを上げ、ワークス・ホンダの2台を追う態勢に入った。
しかし中盤、トップ2台は激しいドッグファイトを繰り広げながらもペースを上げ、3位のロレンソと2位ペドロサの差は6秒以上と広がっていた。そして残り12周、このサーキットを得意とするペドロサが遂にストーナーを捉え、再び1位に踊り出た。
トップが入れ替わってからも、この2台はテール・トゥ・ノーズのまま終盤を迎え、バックマーカー見え始めた残り4周から、さらにその走りは激しさを増していった。
最終ラップまで目が離せない展開は、ストーナーの12コーナーの転倒で幕を閉じる。今季初のチェッカーを受けたペドロサは喜びを爆発させた。今回のドラマチックな結末は丁寧な走りで終始3位を走行していたロレンソにとっても、2位の20ポイントを獲得する非常に価値のあるレースとなった。ポイントリーダー争いは2週続けて劇的なストーリーなったが、首位をキープしたロレンソに続き、ペドロサが2位に浮上したことで、ますます面白くなってきた。
そして、忘れてはならないのが終盤のヤマハ勢3台による4位争いだ。非常に見応えのあるレース展開で、ある意味一番今レースで観衆を熱くさせたかもしれない。カル・クラッチロー(モンスター・ヤマハ・テック3)のオーバーランは残念だったが、スピースとの熱いバトルを制し、2レース連続で表彰台に上ったアンドレア・ドビツィオーゾ(モンスター・ヤマハ・テック3)の走りも見事だった。
来週は第9戦イタリアGP。決勝は15日にジェロ・サーキットで行われる。(編集担当・加藤隆文)