アウディが2017年自動運転車を市場に投入 未来都市が現実になる日

2015年03月19日 08:41

 アウディが、自動運転車を2017年に市場に投入すると発表した。自動運転の車といえば、人は乗り込むだけで目的地に連れて行ってくれる、まさにSF小説で読んだ世界がもうそこまできているのだ。

 アウディが市場への投入を発表したように自動運転車の開発は実験段階を終え、実用化に向かって日々テストがくり返されており、開発競争に火がついている。

 自動運転車のメリットは、渋滞の緩和、交通事故の削減、環境負荷の軽減、高齢者の移動支援、運転の快適性向上など、実用化となれば現在の道路交通が抱えている問題を一気に解決してくれる。米コンサルタント会社マッキンゼーは、米国での試算であるが、自動車事故全体の90%を削減できるかもしれないと新しいリポートで報告している。

 日本でも自動運転車導入へのロードマップはすでに始まっており、20年には「世界一安全な道路交通社会のスタート」と「自動走行システムの試用開始」が目標とされている。

 だが、そこに至るには解決しなければならない問題点もいくつかある。その1つが自動運転車の挙動である。アメリカの市街地でのテスト走行では人間が運転する車とは違った挙動をすることが報告されている。右折(日本の場合左折)する場合、人間が運転する自動車は安全を確認しながら発進する。一方、自動運転車は、進行方向に障害がないことを確認できるまで停止したままである。また、郊外のフリーウェイの合流地点でも乗員が肝を冷やすようなレーンチェンジを行うこともある。回りに障害物がないことを確認した上でのレーンチェンジと分かっていても気持ちのよいものではないとのことだ。

 次は、法整備についてである。官邸が発表した日本再興戦略(13年6月14日閣議決定)内の「運転支援システム高度化計画(概要)」でも、車両側、道路側の技術や安全面における検討課題、制度。社会受容面に見る検討課題、既存の制度の見直しや責任の所在の明確化などが必要とされている。他にも、自動車保険や事故の責任の所在など解決すべき点はいくつかある。高齢者が増えていく日本で自動運転車の恩恵に預かれる人はさらに増える。解決しなければいけない問題はいくつもあるが、ぜひとも1日も早く実現してもらいたい。(編集担当:久保田雄城)