円安を背景に国産自動車メーカー各社とも最高益を確保しようというなかで、輸入車が生産コストの上昇や円安を理由に昨年末あたりから「価格改定」という名のもとに、ジワジワと値上げしている。
すでに正式に値上げ(価格改定)を発表しているのは、フォルクスワーゲン(VW)、アウディ、ベントレー、プジョー&シトロエングループ、そしてケータハムだ。昨年12月初旬に、真っ先に値上げを発表したVWの場合を見ると、値上げしたのは販売の主力車種でゴルフやポロなどだ。一例を挙げると「ゴルフTSIコンフォートライン」は、従来の277.9万円から7万7000円アップの285.6万円と2.7%の値上げだ。
VWグループに属するアウディも年明け1月5日に値上げを発表した。値上げの対象車種は、これも主要販売車種であるA3やA4系で、3% ほどのアップとなる。A3セダンの1.4TFSIの場合で、337.0万円から346.0万円へ9万円のアップとなる。
プジョー&シトロエングループも1月19日の価格改定を発表し、2月2日から適用している。値上げ率は、ここでも約2%で、主力車種であるプジョー208GTiで、従来の310.0万円から316.62万円、6万2000円高となる。
言ってみるなら国内輸入車のトップブランドのVWが値上げの先鞭をつけたことで、インポーター各社とも値上げに対する“垣根”が無くなったという気運があり、今後は、ドイツブランド四天王の一角であるメルセデスやBMWの動向に注目が集まっている。
ただ、市場では、ここ数カ月の円安に敏感に反応した“値上げ”に冷ややかな反応もある。一時期、“対ドル80円台まで円高が進んでも”、一切値下げをしなかった“輸入車は儲けすぎていた”とする声だ。さらにいうと、輸入車の多くは年度秋に次年度モデルと称して“仕様の小変更”で価格を改定する傾向がある。そのたびに実質的な値上げが行なわれてきたのも事実だ。
昨年末以降、クルマだけでなく小麦とそれを原料とする食品、ティッシュやトイレットペーパーなども日用品の値上げが止まらない。アベノミクス政策の脱デフレ路線のおかげで、安倍政権発足当時の2012年に比べて対ドル円相場は35円以上も円安となっている。クルマだけではない、輸入品の値上げは続く。(編集担当:吉田恒)