女性が鍵を握る雑誌の未来? 講談社 ハースト婦人画報との業務提携

2015年03月25日 10:52

 講談社は3月9日、雑誌「婦人画報」などを発行するハースト婦人画報社(以下、ハースト)と業務提携すると発表した。ハーストが定期刊行する女性誌14誌やムック本など、すべての出版物が対象となり、講談社は4月から、ハーストが発行する出版の販売を受託する。編集、制作、広告セールスなどの業務は、これまで通り発行元であるハーストが行う。

 記者会見で講談社の野間省伸社長は「合同のキャンペーンなどを実施することで書店での雑誌販売の活性化につなげたい」と述べた。一方のイヴ・ブゴン=ハースト 社長兼CEOは業務提携について「講談社の持つ強力な流通インフラとスケールメリットに魅力を感じた。それぞれの強みを生かしてシナジーを創出し、新しいビジネスモデルを両者で模索する」と説明した。この提携は双方にとって大きなメリットが推測できるが、それだけではない。

 現状、出版業界はネット等の普及により市場自体が縮小傾向にある。その中でも雑誌の別売上推移は、日販の『出版物販売額の実態』最新版(2014年版)の調査によると、00年から最新の13年に至るまでに-32.4%と右肩下がりである。講談社も市場規模を拡大出来ず、13年には「グラツィア」「グラマラス」などの女性誌が相次いで休刊に追い込まれた。何故雑誌が売れなくなってしまったのだろうか。その要因として、一つは、前述で述べた市場規模の縮小。もう一つは、雑誌のコアターゲットである女性の雑誌に求めるものが変化してきたことが考えられる。昔は新しい情報は雑誌で収集していたがウェブページで気軽に拾えるようになったため、雑誌は情報収集の一部に変化した。その為、雑誌にはウェブのような即効性ではなく、質の高さが求められるようになってきたというように役割が変化してきたのである。今回のハーストとの業務提携で講談社は従来の雑誌とは異なるハイクラスのファッションを取り扱う事で今「雑誌」で求められている新しい役割を担っていくことだろう。(編集担当:久保田雄城)