いよいよ開幕したMotoGP2015年シーズン、29日には初戦となるカタールGPの決勝を迎える。その前に2015年シーズンの展望を考えてみよう。
まず、注目されるのがレギュレーションの変更だ。昨年、2014年シーズンは2013年シーズンから大幅にレギュレーションが変更され開幕直前まで混乱したが、それに比べると今回のレギュレーション変更は少ない。
2015年は、まずサイティングラップ後に天候が悪化した場合のマシン・タイヤ交換に関するレギュレーションが変更され、フラッグ・トゥ・フラッグによるマシン交換のための位置の変更と、ピットレーンの出口にラインを設けるなど、混乱回避策がとられる。
これは、2014年ザクセンGPで天候悪化による大混乱が見られたためだ。
そして、2015年シーズンで最も注目されるレギュレーションの変更がソフトウェアに関するものだ。
MotoGPでは2016年よりすべてのマシンが共通のソフトウェア(ECU)を使用することが決定しており、2015年シーズンはそれに向けたレギュレーションが組まれる。2014年からファクトリーマシンは独自開発のECUを、オープンカテゴリのマシンは共通ECUを使用しているが、2015年6月30日以降、ファクトリーマシンのECU開発が凍結される。
ホンダ、ヤマハ、ドゥカティのファクトリーチームは、ドイツGPにおいて最後の凍結版ソフトウェアを使用し、レース終了後にこのソフトウェアを提出する。これ以降、安全上の理由以外でソフトウェアに手を加ええることはできなくなる。
また、今シーズンも昨シーズン同様オープンカテゴリのマシンおよび未勝利のファクトリーチーム(ドゥカティ)には昨シーズン同様、燃料・エンジンの使用数などにアドバンテージが与えられている。
そんな2015年シーズンだが、やはり気になるのは昨シーズン圧倒的な強さを見せたマルク・マルケスの状況だろう。M・マルケスはセパン・インターナショナル・サーキットで開催された2度のオフィシャルテストで総合1番手を獲得しており、調子は上々。
チームメイトのダニ・ペドロサも仕上がりはまずまずと見られており、レプソルホンダは好調ムードで初戦を迎える。
対するモビスターヤマハMotoGP、最高峰クラス16年目に突入するバレンティーノ・ロッシは昨シーズン後半より好調をキープ。チーム・マシン共に準備は万端の状況で、昨シーズン優勝争いを演じたロサイル・インターナショナルサーキットに挑む。
チームメイトのホルヘ・ロレンソは、昨シーズン開幕戦カタールGPで転倒リタイアを喫したが、今シーズンは昨シーズンと対照的に絶好調。オフィシャルテストでも上位につけており、開幕戦に対するモチベーションも高い。
また、今シーズンのテストではドゥカティが上り調子。14日に行われたテストではアンドレア・イアンノーネが、15日のテストではアンドレア・ドビツィオーゾが、それぞれトップタイムをマークし、チームの好調ぶりを見せつけた。ドゥカティの新型マシンの投入も開幕戦の見どころになりそうだ。
さらに、今シーズンはスズキ(チーム・スズキ・エクスター)がMotoGPに復帰。アプリリア(アプリリア・レーシング・チーム・グレシーニ)も2016年の本格参戦を視野に2015年をテストシーズンと位置づけ、開幕戦のカタールGPに臨む。
昨シーズン強さを見せつけたホンダ勢、後半に巻き返したヤマハ勢は好調をキープ、ドゥカティも調子を上げてきており、さらに新チームも参戦するとなれば、2015年の開幕戦となるカタールGPは見逃せない一戦となることは間違いない。
熾烈な激戦が繰り広げられるのか、それとも頭一つ抜け出しスタートダッシュを決める選手が出て来るか……2015年シーズンの動向を大きく左右するナイトレースへの期待は高まる。(編集担当:熊谷けい)