10月26日、MotoGP第17戦は、マレーシアのセパンインターナショナルサーキットで決勝を迎えた。
セパンインターナショナルサーキットは、コース幅が25mと広いのが特徴の高速サーキット。二つの長いストレートを持ち、サーキットのコース全長は5,543mと長い。最長920mのストレートを有する高速サーキットだが、低速・中高速コーナー合わせて15の多彩なコーナーを持つテクニカルなサーキットだ。
加えて、熱帯特有の高温多湿の過酷なコンディションでのレースとなるため、タイヤに非常に厳しいサーキットでもある。マシンとタイヤの消耗を抑え、パフォーマンスの低下をどれだけ防げるか、そしてライダーのフィジカルコンディションをどれだけ高く保てるかがレースの行方を大きく左右する。
気温36℃、路面温度54℃という非常に厳しいコンディションで迎えた決勝。ロケットスタートを決めてホールショットを決めたのは2番グリッドスタートのダニ・ペドロサ(レプソルホンダ)だった。
最多記録となる13度目のポールポジションを獲得し、今季12勝目が期待されるマルク・マルケス(レプソルホンダ)は、やや出遅れて1コーナーで3番グリッドスタートのホルヘ・ロレンソ(モビスターヤマハMotoGP)と接触。一時は8番手まで順位を落とした。
接触したJ・ロレンソも一時的に順位を落としたが、オープニングラップ後半で巻き返し、D・ペドロサを抜いてトップに立った。
J・ロレンソがトップ、D・ペドロサが2番手という展開で迎えた2周目、最終コーナーでD・ペドロサが転倒。レースには復帰したものの、順位を大きく落としてしまった。
スタート直後の混戦で一時順位を落としていたM・マルケスだったが、じわじわと順位を上げ、3周目には3番手に浮上。6番手スタートのバレンティーノ・ロッシ(モビスターヤマハMotoGP)も好スタートを決めて追い上げ、3周目には2番手に浮上した。4周目には4番手以降がじわじわ引き離され、優勝争いはJ・ロレンソ、V・ロッシ、M・マルケスの3人に絞られた。
レース中盤、高温多湿で路面温度が非常に高く、タイヤ・マシンに非常に厳しいコンディションの中、J・ロレンソとVロッシのトップ争いが激化。
10周目にはV・ロッシがJ・ロレンソを抜いてトップに躍り出る。その直後、3番手につけていたM・マルケスが攻めに転じ、J・ロレンソを抜いて2番手に浮上した。さらに11周目にはM・マルケスがトップのV・ロッシを抜いてトップを奪った。
先頭の3台が熾烈な優勝争いを繰り広げる中、レースはサバイバルの様相を呈し始める。レース序盤、アレイシ・エスパロガロ(HGMフォワードレーシング)とアルバロ・バウティスタ(GO&FUNホンダグレシーニ)が接触・転倒によりリタイア。5周目にはマシントラブルによりカル・クラッチロー(ドゥカティ)がリタイアし、14周目にはニッキー・ヘイデン(ドライブM7アスパー)が転倒、リタイア。戦線離脱するライダーが相次いだ。
さらに、13周目にはD・ペドロサが2度目の転倒を喫し、リタイアとなった。このリタイアによって、D・ペドロサはシーズンポイントランキングの2位争いから脱落した。
M・マルケスとV・ロッシの熾烈なトップ争いはレース終盤まで持ち込まれたが、残り3周というところでV・ロッシのペースが落ち始め、スパートをかけたM・マルケスと差が開いた。
結果、M・マルケスが今季12勝目、5レースぶりの優勝を手にした。2位にはV・ロッシ、3位にはJ・ロレンソとヤマハ勢が続いた。
4位にはステファン・ブラドル(LCRホンダMotoGP)、5位にはブラッドリー・スミス(モンスターヤマハテック3)、6位には骨折を押して参戦したポル・エスパロガロ(モンスターヤマハテック3)が入っている。
なお、レース終盤まで4番手を走行していたアンドレア・ドビツィオーゾ(ドゥカティ)は、17周目に生じたマシントラブルにより、8位でフィニッシュしている。
8台が転倒し、サバイバルレースとなった厳しいマレーシアGPを制したのは年間チャンピオンのM・マルケス。今季12勝目をマークしたM・マルケスは97年にマイケル・ドゥーハンが樹立したシーズン最多優勝記録の12勝に並んだ。
次戦の最終戦で優勝すれば、シーズン13勝という最多優勝記録を更新することになる。
さらに、シーズンポイントランキングの2位争いからも目が離せない。マレーシアGP終了時点で、ポイントランキング2位のV・ロッシ(275ポイント)と3位のJ・ロレンソ(263ポイント)の差は12ポイント。V・ロッシに分があるものの、最終戦はJ・ロレンソの母国GPともなるバレンシアGP。逆転の可能性も十分にあるだけに、このチームメートバトルからも目が離せない。
いよいよ今季最終戦となるバレンシアGPは11月9日、スペインのバレンシアサーキットで行われる。母国GPで、M・マルケスの新記録を樹立するか、そしてポイントランキング2位はV・ロッシとJ・ロレンソのどちらが手にするのか。最後の最後まで目が離せない。(編集担当:熊谷けい)