子供の睡眠不足はなぜ悪い?成長との関係

2013年01月11日 08:39

 昔から「寝る子は育つ」と言われるように、睡眠は子供の成長に大きな影響を及ぼす。しかし、Sleep Medicine2010年の報告によると、日本の0~3歳児の昼寝を含む総睡眠時間は12時間弱。欧米各国に比べ短く、トップのニュージーランドと比べると約100分も短いという。睡眠不足は0~3歳児だけではなく、小学生や中高生、大人にまで及び、日本人は世界一寝不足の国民とも称されている。睡眠不足は、成長に一体どのような影響を与えるのだろうか。

 子供の骨や筋肉を育成し、身長を伸ばすなど大切な役割を担うのが脳下垂体から分泌される「成長ホルモン」。この「成長ホルモン」は、熟睡状態であるノンレム睡眠のときに多量に分泌される。また脳科学研究によると、子供の睡眠(質・量・リズム)は脳機能の発達・発育とも密接な関係があり、学習意欲や学力に大きく関係していることが明らかになった。乳・幼児期の睡眠障害は、運動・言葉の発達を遅らせ、コミュニケーション障害や注意欠陥多動性障害(ADHD)をもたらすとも判明。さらに乳・幼児期の睡眠障害は、成人に至るまで持続する可能性が懸念され、不登校や引きこもり、会社を続けられないなどの要因になる事もある。

 兵庫県立リハビリテーション中央病院には子供の睡眠と発達医療センターがあり、外来患者は「夜泣きがやまない3~4歳児」や「不登校の10代」が中心。同センターによると、それらは乳幼児期の睡眠障害による脳機能低下が原因とみられるケースが多く、社会全体が子供の睡眠不足に対しての危機感が乏しすぎると警告している。また夜更かしをすると、神経伝達物質「セロトニン」の働きが落ちる。「セロトニン」は脳の発育を促し感情をコントロールするため、夜中に起きていると精神的に不安定になり、攻撃性や衝動性が高まるという。

 体・脳・心の発達に大きな影響を与えている睡眠。子供が十分な睡眠時間を確保できるよう、大人は生活習慣の重要性を認識し、改善していくべきではないだろうか。(編集担当:野口奈巳江)