英国本国では昨年発売されて好評な「ザ・グレンリベット ナデューラ オロロソ」が6月1日から日本国内販売を開始する。これは「ザ・グレンリベット」として久しぶりの新製品で限定ボトルではない。これまで販売してきた「ザ・グレンリベット ナデューラ16年」は販売終了となり、この新製品に切り替わることとなる。
“ナデューラ”とはゲール語で“ナチュラル”を意味する。これまでの「ザ・グレンリベット ナデューラ16年」は、16年の長期熟成樽を厳選してカスクストレングス(樽出しのままのアルコール度数)で冷却濾過を施さず(ノンチル・フィルタード)にボトリングしていた。
今回の新製品は、スペイン・ヘレス地方のオロロソ・シェリー樽のファーストフィル(初回使用)だけを使って熟成した原酒をボトリングした製品。「ザ・グレンリベット」がオロロソ・シェリー樽熟成原酒だけをボトリングした製品ラインアップとしたのは長い歴史のなかで初めてのことだ。
特別な少量生産レシピ(スモールバッチ)で調合し、カスクストレングス、ノンチル・フィルタードという古典的な製法から生まれた香りは、熟成樽由来のドライフルーツのようなリッチなフレーバーを漂わせる。口にすると60.7%というカスクストレングスがもたらすキックのあとに、スムーズでフルーティな味わいの中にダークチョコレートの甘さが口腔にひろがる。加水すると、この甘さが一気に花開き長いアフターノートとなる。
ザ・グレンリベットは伝統的でありながら、つねに革新に満ちた施策を行ってきた蒸溜所だ。1824年に政府公認蒸溜所第一号として創立した歴史あるモルトウイスキーだが、1934年にはシングルモルトウイスキーとして初めてアメリカに輸出を開始した。当初、その数は僅か(100ケース/年)だったが30年代のうちに9倍に増えたという。そして、アメリカでの急成長のなかで新しい需要を喚起した。アメリカ大陸を横断するプルマン型寝台鉄道の食堂車用としてザ・グレンリベットの2オンス・ミニチュアボトルを生産したのだ。そして、この鉄道の一等車に乗って国中を移動するエリート・ビジネスマンにザ・グレンリベットが認知された。ちなみに、このミニチュアボトルは、シングルモルト・スコッチとして世界初のボトルである。
同蒸溜所のこうした革新的な挑戦のなかから生まれたのが、今回の「ザ・グレンリベット ナデューラ オロロソ」といえそうだ。なお、このウイスキーは昨年の「インターナショナル・ワイン・アンド・スピリッツ・コンペティション」で金賞を受賞し、ようやく日本に上陸する逸品だ。
心配なのは終売となる旧「ザ・グレンリベット ナデューラ16年」の人気沸騰だ。ここで敢えて記して煽るわけではないが、ナデューラ16年も根強い人気があるモルトウイスキーだから。(編集担当:吉田恒)